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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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シャドービハインド

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「この薬は身体の感度を良くする薬でね。快感もそうだが、痛みも増幅させてくれる」
 真症のサディストだ。
 メスが妖しい光を放った。
「キャットピープルの自然治癒能力は哺乳類でもっとも高い。だが、痛覚は一般的な人間のそれと変わらない。つまり、拷問の披見体として、これほど適したモノはないということになる」
 そして、メスは男の皮膚の上を奔った。
 切られたのは指。
 男は表情ひとつ変えていない。
 三野瀬は「ふむ」と鼻を鳴らした。
「指は感覚の鋭い場所だ。細い血管も多く、痛みが強い。顔も細い血管が網の目のように走っている」
 メスは男の頬を切った。やはり男は動じない。傷もすぐに塞がってしまう。
 同属であれば、この程度の外傷は意味を成さないと熟知している。
 ここまでの間で、目の前の男が屈強な精神を持っていることがわかった。
「では、はじめよう」
 三野瀬は言い、リサに顔を向けた。
「さて、最初の質問は何にするかね?」
「どこの誰か知りたいかなー」
「だそうだ、答えてもらおう」
 誰もこれで答えてもらえるとは思っていない。男は固く口を閉ざしたままだ。
 メスは服を切り刻み、男の胸板が露になった。
「それではキャンパスに絵を描こう」
 滑らかな手の動きで、メスは男の乳首の周りに円を描いた。
 二つの乳首の周りに円を描き、そこで手が止まった。
「好きなときに口を開きたまえ」
 作業は淡々と進み、紐の付いたリングピアスが乳首に刺された。
 拷問を受けている男は口を固く結び、まだ口を開く気配はないのだが、その近くにいる二人には変化が見て取れるようになっていた。
 にじむ汗、引き吊る頬、その変化を三野瀬は視界の端で捉えていた。
 三野瀬は乳首に繋がれたピアスから伸びる紐を持った。
「リサ、やるかね?」
 爽やかな笑顔で三野瀬は尋ねた。
「やるやる、おもしろそ!」
 こちらも笑顔で答えた。

 数分後、地下室からリサと三野瀬が上がってきた。
 リサは笑顔を浮かべている。
「ちゃんと聞き出してきたよぉん。二人の子は簡単に口を割ってくれて助かっちゃった」
 はじめに拷問を受けた男を最後まで口を開かず重症を負わされた。それでいいのだ。最初からのこの男に口を開かせる必要はなかった。
 強い者を拷問し、弱い者の恐怖心を高める。目の前で繰り広げられる光景を見て、より確実に弱い者を落とすことができたのだ。
 リサはシンと示し合わすように頷き、少し真面目な表情で言った。
「やっぱりあいつらの仲間だったよ」
「狙いはやはり戒十か」
 シンは驚きもせず呟いた。
 わずかな衝撃を受けた戒十だが、周りの反応を見てその衝撃を胸の奥で抑えた。
 あの男たちは戒十を狙っていたらしい。もしやカオルコの仲間なのか?
「僕が襲われたカオルコって女と男たちとの関係は?」
 戒十は尋ねた。
「やつらのボスだって。戒十を捕まえることが目的らしいけど、やっぱりアレのせいだろね」
「アレってなんだよ?」
「戒十がウチらの同属になった要因を作った?お姫様?のこと」
「姫ってなんだよ。それでなんで僕が狙われるんだよ?」
「姫っていうのは、キャットピープルの中でも絶大な力を持ってる存在。姫から血を受けた者は他のキャットピープルと比べものにならない力を得ることになるんだよねぇ」
 煙草に火をつけた三野瀬が付け加えた。
「研究対象としても一級品だ。クイーンが血を分けた者は片手で数えるほどしかいないらしいからな」
「じゃあ僕は捕まえられて解剖されるために狙われてるってことか?」
 その言葉を聞いて、三野瀬は煙を吐きながら笑った。
「私ならばそうしたいが、理由は別にあるだろうな。そう、おそらく政権争いというところか?」
「僕はそんなことに巻き込まれるのはごめんだね」
「それは無理な相談だな。血の運命は変えられない……死なない限りな」
 三野瀬は悪魔のような笑みを浮かべた。
 戒十が叫ぶ。
「うるさい!」
 血が煮え滾るように熱い。
 なぜか戒十は感情を抑えられなかった。
 どうしてこんなに血が熱いのか?
 部屋を飛び出そうとする戒十の腕を掴むシン。
「待て」
「放せよ!」
 シンの手を振り払い戒十は部屋を出て行ってしまった。
 呆れたようなため息をリサは吐き、シンに頼んだ。
「気づかれないように尾行お願い」
「わかっている」
 シンは静かな足取りで戒十の後を追った。
 リサはソファに深く座り、天井を仰ぎ見た。
「この時期がもっとも精神が不安定になるだよねー」
「そして、もっとも道を踏み外しやすい時期でもある」
「そのときはアタシかシンがちゃんと責任を取って殺すから」
「クイーンの血に勝つのは至難の業だぞ」
「性能の違いは戦力の決定的な差じゃないも〜ん。こう見えてもアンタなんかより、いっぱい生きてるんだから」
 リサは犬歯を見せながらにっこり笑った。
 しばらくの沈黙のあと三野瀬が口を開く。
「ところで……リサはいくつなんだ?」
「にゃははん、女の子に歳を尋ねるなんて失礼だよぉ〜」
 さらにリサは大きく笑って見せた。