雪と真珠
パールがいなくなって冬は終わり芽吹きの春がやってきました。
パールがせっせと何かしていた場所には少ないながら綺麗な花が咲きました。
スノウは最後の雪に前足を乗せると頭の上で例の梟に声をかけられました。
「どうしたんだい?」
そう梟に向かって聞くと梟はスノウの前にやってきて綺麗な白い玉を雪の上におきました。
「もしかして……これがパールかい?」
すると梟は頷くました。
スノウは目の前の綺麗な丸い白い玉を見てとても綺麗だと思いました。
パールの傍に前足を添えると梟は気を利かせてくちばしでそれを乗せてくれました。
「お前さんの黒い毛の上にこれを置くと夜空の月のようだな」
そう言う梟に同意をするかのように頷きスノウはパールをじっと見つめ続けました。
昔々。
とある森の中にひっそりと日もあたらないような場所がありました。
そこには闇に溶けるような黒い毛並みの狼が一匹住んでいました。
名前はスノウ、真っ黒な毛並みが雪にとても合うと友達に名付けてもらいました。
気弱な性格と狼の癖に狼のように小動物を捕らえんとギラギラとした瞳をしていないので他の狼からは疎まれています。
しかしスノウは気にしません。
スノウの友達はそれがいいと言ってくれたからです。
今日も命の尽きた動物の死骸に感謝と祝福をしながら生きます。
そしてどこかで暮らす友達を思いながら夜空の綺麗な月を見上げるのでした。
【終わり】