雪と真珠
昔々。
とある森の中にひっそりと日もあたらないような場所がありました。
そこには闇に溶けるような黒い毛並みの狼が一匹住んでいました。
名前は特にありません。気弱な性格と狼の癖に狼のように小動物を捕らえんとギラギラとした瞳をしていないので他の狼からは疎まれています。
狼には欲しいものが二つありました。
一つは名前でした。
小さなときから日のあたらないこの場所で名前もなく闇にひっそりと暮らしていたので名前は必要ありませんでした。ですが、やはり他の狼が仲間内で呼び合っているのを見ると羨ましく思うのでした。
もう一つは友達でした。
狼は自分の姿が嫌いでした。なにより、なぜ狼に生まれたのだろうと日に何回かは考え俯くのです。
他の狼は自分を嫌っているし、森の動物と仲良くしようとしても自分が狼というだけで相手は恐れて近寄りません。
狼は一人ぼっち、日のあたらない森の一角で今日もまた寂しく闇に溶けるのでした。
とある森の中にひっそりと日もあたらないような場所がありました。
そこには闇に溶けるような黒い毛並みの狼が一匹住んでいました。
名前は特にありません。気弱な性格と狼の癖に狼のように小動物を捕らえんとギラギラとした瞳をしていないので他の狼からは疎まれています。
狼には欲しいものが二つありました。
一つは名前でした。
小さなときから日のあたらないこの場所で名前もなく闇にひっそりと暮らしていたので名前は必要ありませんでした。ですが、やはり他の狼が仲間内で呼び合っているのを見ると羨ましく思うのでした。
もう一つは友達でした。
狼は自分の姿が嫌いでした。なにより、なぜ狼に生まれたのだろうと日に何回かは考え俯くのです。
他の狼は自分を嫌っているし、森の動物と仲良くしようとしても自分が狼というだけで相手は恐れて近寄りません。
狼は一人ぼっち、日のあたらない森の一角で今日もまた寂しく闇に溶けるのでした。