叶わぬ恋
彼は、会っても無口なようでほとんど喋らない。
しかし、告白も無視とは。
リクは、抱かれながら涙を流した。
そして、現代に戻る。
橘聖は、忽然と姿を消したまま。
光は、いつも彼処で告白しなかった、まだ彼と、会っていたのに・・・と毎日後悔していた。
最高位に上がり、源治名も、リクから光に変えた。
光の心はあの時間、あの場所で止まったままだ。
珍しく、外を眺めていると、一台の黒い車がやってきた。
それは珍しい光景。
もう一度、見たいと思った光景。
リク・・・いや光は部屋を飛び出した。
「聖!!ひ、聖!!」
その顔は、酷く穏やかだった。
「リク。すみません、答えを出すのに時間がかかりました。こんな私でよろしければ・・・」
手を差し出される。
光は、それを跳ね除け、思い切って抱きついた。
「待ってたっ・・・」
涙が溢れる。
顔をあげると、表なのにも関わらず、キスをされた。
「誤魔化したようにしてしまってすみません。さぁ、いきましょうか」
「どこへ?」
「僕の家ですよ」
光は、耳を疑った。
男娼屋敷から出られるのだ。
「あ・・・りが・・・とう」
「リク」
「なぁに?」
「I give kiss to you as a present.」
リクが首を傾げると、聖は、その滑らかな頬にキスをした。
「“あなたにプレゼントとして、キスをあげます”」
甘く、切ない恋。
これだけで、終わりではない。