永遠 そのに
何が、と、聞くだけ野暮やろう。千佳ちゃんの証言によると、俺の嫁は、「ものたりない」 という感想だったという。そらまあ、そうなのだ。普段、やっていることをしてもらえないのだから、物足りないという感想になる。一応、千佳ちゃんは、それなりのことはしたらしいが、まあ、それは満足できるものではなかったはずだ。
「そらもう、喜んで。でも、おまえもシャワーは浴びて洗え。」
「・・ああ、せやな。」
とりあえず、シャワーを浴びてから、俺の嫁が、「もう充分や。」 と言うまで、やり続けた。メシも飲み物もない状態だと、俺の嫁は、ふらふらになってしまう。明日は、日曜やから、ゆっくり沈没させておけるから、と、俺も容赦しなかった。この形に馴染んでしまったのは、俺も同じだ。抱けることは抱けるだろうが、たぶん、相手の到達地点がわからなくなっているだろうと思う。
「男って、わかりやすいよな。」
「・・ん?・・・なあ、花月・・・もう、ええ・・・・なあ、もうええって・・・・もう、いやや。」
「いややわー水都さん、熱烈に誘てくれはったんは、あ・ん・た。全力で、ご奉仕させてもらいますぅー。」
「・・・あかん・・て・・・俺・・もう・・・しんどい・・・」
「はいはい、まだ、いけるで? ほら? 」
「・・・いややってぇぇぇ・・・」
徹底的にやってやるつもりで、手加減はしなかった。忘れたというなら思い出させておけばいい。また忘れても思い出させればいい。そのうち、水都は本格的に泣き出して、それから潰れた。強烈な記憶で上書きすれば、その前のことなんて押し潰されてしまう。
・・・しゃーないよな? おまえは壊れてるんやから・・・・・
ぼろぼろに泣いた顔を覗き込んで、「二週間か。」 と、その記憶の保存時間については肝に銘じた。二週間が、たぶん、ひとりでいる限界なのだろう。
「いや、違うか。千佳ちゃんが二週間って約束したっていうてたもんな。・・・・二週間って言うたのが悪かったんか・・・」
知り合って三年、付き合って二年、同居して半年も経っていない。だから、その限界の時間は延ばすことは可能だろう。
「とりあえず、こいつを洗って、メシの支度するか。あーあーシーツは廃棄したほうがええかな。」
どろどろという雰囲気のシーツと、すっかり陽が暮れてしまった室内を見回して、俺は立ち上がった。