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文芸部での活動まとめ

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「あぁ。だが、私から言ったらまた面倒が起る。だから……」
 セリルの言葉は言わずとも、クレイに伝わった。
「俺が言えばいいのか? ……うーん、分かった。じゃあそれで行こう」
 

    ◆    ◆    ◆


 作業場に戻った四人は予想通り、重苦しい空気に包まれた。
「………………ちょっと」
 最初に口を開いたのは桧皮色の少女だ。
 しかし、彼女が何かを言おうとする前に、クレイが大きく音を立てて、手を叩いた。
「よし、みんなとっとと作業やっちまおうぜ。ちょっと術ミスってるらしいから、まずそっから直していこう」
 え、うそ。マジで? どこが間違ってんの?
 クレイの突然の発言にみんなは少し混乱する。まだまだ、些細なミスに気づくほど、知識も経験もないのだ。
「待ってよ。術構成の点検はあたしがやったのよ? 私が気付けなくてクレイが気づけるわけないじゃない」
 そう言ったのは桧皮色の彼女だった。よほど自尊心が強いのか、クレイをキッと睨みつけた。
「あぁそうだな。俺が気付いたじゃねえし」
「ちょっとそれって」
「おい、パーシヴァル」
 いたずらに成功した子供のようにクレイは笑った。
「もちろん、セリルが気付いたんだよ。一応どこがどう違うか聞いたけど俺には良く分かんなかったから直接聞いてくれ」
 作業場がまた思い沈黙に満ちた。
 セリルは大きく溜息をつき、ルットははらはらと様子を見守っていた。リアだけがおかしそうな顔をしている。
「……えっと……で、どこがち、違うの?」
 最初にセリルに向かってそう言ったのは若草色の彼だった。
「!」
「ちょっと……」
 桧皮の少女が少し文句を言おうとしたら、その前に苔色が止めた。
「いいじゃん、みんなで協力してこそ……だしさ。アーレミアだけのけるわけにはいかないって」
 その言葉で、周囲の空気が変わっていく。
「そうだよね。ねぇどこが間違ってるの? 私たちにもなんとかできる?」
「あ、俺も教えてほしい。後学のためにも」
 次々に、クラスメイトのみんながセリルの元へと集まってきた。
「あ、えっと……」
 思ってもなかったことに、今度はセリルが混乱する番だった。
「あーはいはい。一気に行くなって。他にもすることあるんだからよ。セリル、修正組に指示出してもらえるか?」
「あ、あぁ……」
 その言葉を合図に作業は再開した。
 クレイを中心に、装置全体を作り上げ、セリルが細かなところの修正を行っていく。
 セリルが輪に加わったせいか、先ほどよりも幾分か効率がよくなった。
 それを見ていた桧皮色の少女がゆっくりと彼女に近づいて行った。
「…………アーレミアさん」
「あ、……」
「一応謝っておくわ。ごめんなさい」
 その言葉にセリルは目を思いっきり見開いた。しばし何も言えないでいると、視界の端に楽しそうな顔をしているリアの姿が見えた。
「いや、こっちこそ悪かった……」
 少し、優しい目をしたセリルはそう彼女に返した。
「で、どこ直せばいいの?」
「あぁここをこうして……」
 その様子を離れたとこから見ていたクレイはそっと笑った。


    ◆    ◆    ◆


 結論から言うと、大祭は大成功だった。
 セリルもあれ以来、クラスにはよくなじんでおり、今ではクレイたちの良き友人となっていた。
「馬鹿かパーシヴァル! なんでこう毎度毎度ぶっ壊すんだ!」
「いやぁ、なんかこう気が付いたらドカーンって……」
「普通はならん!」
 少しばかり遠慮がなくなったためか、以前よりも言葉遣いがきつくはなっていたが。



  

 ――これはまだまだ始まりに過ぎない。色と魔術の物語はここから始まるのだ。




            end
作品名:文芸部での活動まとめ 作家名:悠蓮