愛と引きこもり
愛と引きこもり
飯浜直樹、二十五歳。俺は引きこもりである。
といっても鬱とかなんとかそんなんじゃなく、ただものぐさなだけだ。職業柄というのもあるっちゃある。
出かけるのも話すのも、遊びに行くのもまして食事を作るのも面倒、ああ面倒。
だめ人間の鑑みたいな俺。でも、そういう俺でも今の世は生きていけたりする。キーボードで検索窓にキーワードを打ち込み、通販サイトに行けば衣、食なんて外に行かなくてもそろえられるのだ。しかもやってくれるやつがいるがために掃除もしなくていい。これがまた俺の怠け欲を増長させる。いいねえ、楽だねえ。
職業は、一応作家。中学の頃からここまでじゃなかったものの既にこんな性格の片鱗が覗いては引っ込みしてたもんだから、当時から漠然と在宅な仕事がいいと考えていた。幸いにも中、高と授業で書いた文章が褒められたことから俺は国語だけはやる気になっていた。褒められて伸びるタイプ、俺。現金すぎる生き物である。
そんでもって調子に乗って投稿とかしてたらこれがまたあたっちまったからびっくりだった。そのままあれよあれよとそれが本業になり、今に至る。
売れ行きはまあまあで、ファンレターなんかもぼちぼちもらえるようになった。打ち合わせとか以外は外に出なくていいし、なんだかんだいって書くのは好きだしでいい人生だと思っている。これぞ本望って感じだ。それに、楽しみもある。
「ななみちゃーんごはーん」
「はいはい、うるさいですね先生は。もうすぐできますから待っててください。大人しく原稿しないと口にちくわ十本くらい突っ込んじゃいますよ」
「ちくわ! それはいかんぜよななみちゃん」
パソコンに向かっていた俺は猫なで声を出してキッチンに催促を送る。お昼時もとうに過ぎた午後二時、俺の飢餓感は最高潮、集中力が切れて書けるものも書けなくなっていた。しかしちくわはいらん。あんなものが食えるわけがない。
飯浜直樹、二十五歳。俺は引きこもりである。
といっても鬱とかなんとかそんなんじゃなく、ただものぐさなだけだ。職業柄というのもあるっちゃある。
出かけるのも話すのも、遊びに行くのもまして食事を作るのも面倒、ああ面倒。
だめ人間の鑑みたいな俺。でも、そういう俺でも今の世は生きていけたりする。キーボードで検索窓にキーワードを打ち込み、通販サイトに行けば衣、食なんて外に行かなくてもそろえられるのだ。しかもやってくれるやつがいるがために掃除もしなくていい。これがまた俺の怠け欲を増長させる。いいねえ、楽だねえ。
職業は、一応作家。中学の頃からここまでじゃなかったものの既にこんな性格の片鱗が覗いては引っ込みしてたもんだから、当時から漠然と在宅な仕事がいいと考えていた。幸いにも中、高と授業で書いた文章が褒められたことから俺は国語だけはやる気になっていた。褒められて伸びるタイプ、俺。現金すぎる生き物である。
そんでもって調子に乗って投稿とかしてたらこれがまたあたっちまったからびっくりだった。そのままあれよあれよとそれが本業になり、今に至る。
売れ行きはまあまあで、ファンレターなんかもぼちぼちもらえるようになった。打ち合わせとか以外は外に出なくていいし、なんだかんだいって書くのは好きだしでいい人生だと思っている。これぞ本望って感じだ。それに、楽しみもある。
「ななみちゃーんごはーん」
「はいはい、うるさいですね先生は。もうすぐできますから待っててください。大人しく原稿しないと口にちくわ十本くらい突っ込んじゃいますよ」
「ちくわ! それはいかんぜよななみちゃん」
パソコンに向かっていた俺は猫なで声を出してキッチンに催促を送る。お昼時もとうに過ぎた午後二時、俺の飢餓感は最高潮、集中力が切れて書けるものも書けなくなっていた。しかしちくわはいらん。あんなものが食えるわけがない。