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無敵最強絶対不敗伝説

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   無敵最強絶対不敗伝説

 とある世界のとある時代。戦乱の世の中で1人の天才剣士が産声を上げた。名前はリナ。戦争で殺伐とした時代の中である夫婦が手にした、穏やかな希望の光であった。
リナの父は幸い兵役から戻っており、家庭は円満としていた。リナが3歳のときである。
世の中は戦国時代で、リナが生まれたのは、オーシャンという国である。東にはマウント国、中央にはスカイヤ帝国、南にはチボーンとヤヘイの共和国がある。
 スカイヤは4国に囲まれているが、常に他の四国のうちのどこかと同盟を結ぶことで袋叩きを防いでいる。オーシャンは比較的スカイヤ以外の国を相手に仲良くしているため、各国の自慢の技術もいくらか流れてくる。
オーシャンは食べ物がうまいことで有名である。さて、そのオーシャンは現在そのスカイヤと交戦状態にある。
突然、リナの住まう国、オーシャンに攻め入られたという情報とともに、父は兵役に向かっていった。
 町がきな臭い空気に包まれ、避難命令こそ出ないものの、母親の手を握って泣くのをこらえるのが精一杯である。家の扉が乱暴に開けられ、いよいよかと思えば、オーシャンの兵士である。
「スカイヤの猛攻がこの町にも及んでいます。避難所にお逃げください。」
リナの母はリナを抱きかかえて駆け足で避難所に向かう。避難所には、多くの住民が避難しており、
食料の確保や、安全の確保のためにオーシャン軍の兵士がいる。父はその中にはいなかった。
ひっそりと避難所でうずくまる母子のところに敵国、スカイヤの兵士が乗り込んだ。
殺気立つ兵士の残酷な雄たけびを聞いた母は兵士に立ち向かった。
子供にだけは手を出させない、悲壮な覚悟であった。
「なぁ、今のって冷静に考えたら素人だよな?」
1人の兵士が言う。
「確かにそうだが、万が一がある。我々とて命のやりとりをしている。」
もう1人の兵士が返す。目の前で親を殺されたリナはなす術が無い。3歳児である。
「せめてこの赤ん坊だけは生かしておいてやろう。とはいえ、このままでは・・・」
先の兵士が抱えあげた。リナは幼いながらも、どうしようもない事実を目前に覚悟を決めていた。

 リナは8歳になった。あの兵士のもとで育てられたのだ。兵士の名前はイゾ・オカダ。
オカダは娘のようなリナに憎まれる覚悟で真実を話した。


「おまえの、本当の両親を死なせてしまったのは、この俺だ。軍で調べたら、おまえの父親も戦死していることがわかった。」
リナには状況が読めていないような雰囲気だった。オカダは言葉を続ける。
「せめて子供のおまえくらいは、助けようと、俺が今日まで育ててきた。おまえが嫌じゃなければこれからも。」
リナは無垢な笑顔を作った。
「ボクのパパは今はパパだけ。いっぱいご飯くれる。勉強も教えてくれる。」
実際オカダはリナを非常にかわいがっていた。同じく、病気で早死にした妻と子宝に恵まれていたならば、きっとこんな子が生まれたのかと毎日を感じていたのだ。
「パパ、僕に剣を教えてよ。ずっと前にね、変な夢を見たんだ。怖くて何もできなくなる夢。おかあさん、目の前で殺されちゃうのに、ボクが何もできないっていう夢・・・。強くなりたいんだ。」
オカダはそんな恐怖を与えたのが自分であることを知り、この子の中でハッキリ自分であるということを忘れてくれたのだとうれしくなった反面、罪悪感もあった。せめて自分が満足する強さが自分で持つことができるなら、それもまたこの子のためなのかもしれない。
「では、説明の前にチャンバラしてみようか。この棒を使って、相手をぶったたけば、キミの勝ちだ。逆にぶったたかれたら、負けだから、時にはこの棒をぶつけてぶったたかれないようにしなくちゃいけないよ。さぁ、きなさい。」
オカダもまたスカイヤのエリート剣士である。幼いリナの剣術指導など他愛も無いことだとこのときは感じていた。
よたよたと歩いてきて、竹刀を振り下ろす。オカダはサッとかわして、ポンとリナの肩に竹刀をのせた。
「これでおまえの負けになってしまう。こうならないように気をつけるんだよ。」
リナはハイと元気よく返事をして、またオカダに切りかかる。

今度はオカダのカウンターを読みきって突きを放った。オカダがさっと後ろに引くが、隙は無い。
今度はちょいとオカダの剣先をつついてみた。オカダが力が抜けている隙を見出し、スッと竹刀を上に構えようとするところで、リナは助走をつけずに、足だけ踏み出して突いた。
一切のためがない突きなので、オカダの腹部を触るだけにとどまるが、確かにオカダの竹刀より早くにオカダを捕まえた。オカダはひっかけられたのだ。
オカダはこのとき、リナの可能性を見て、期待を膨らませた。きっと強くなれる。




 リナが剣術を初めて2年。もう10歳になる。ただの子供からなんとなく、女性らしさがにじんでくるころである。実際家事の手際もよく、時折離れ業のようなものも見せるようになった。釣りの道具も持たずに魚を捕まえてきたり、普通ならば時間を要する薪割りを信じられないスピードで実現してみせるなど。そんな能力の裏づけを求めて、オカダは真剣をリナに持たせることにした。
「これは剣。本物の剣だ。いつもと同じようにするけど、これでぶったたいたら、相手は最悪死ぬだろう。剣とは、人を殺すための道具だ。剣術の訓練は、この剣の使い方を学ぶもの。今日はこれを使って練習する。俺はいつもどおり、竹刀をつかうよ。さぁきなさい。」
リナは魚採りをする際に使う得意技、衝撃波を剣先から繰り出した。オカダの竹刀を真っ二つに切り裂いてしまった。オカダは気配だけで竹刀を手放して逃げたため、怪我はなかった。
「竹刀だと、よれよれしちゃうけど、包丁とかだとうまくいくんだ。剣っていうのでもできるんだね。パパ、怪我は無い?」
オカダは、剣士の中でも一握りの人間にしかできぬ技を目の前の10歳の娘に見せ付けられ、ある種の恐怖を感じた。わずか10歳で使いこなせる技ではないためである。

この技を使う以上、スカイヤ軍の中でもトップクラスの剣士と渡り合う。スカイヤだけではなく、世界中の剣豪の中でもかなり強い部類に入る。
オカダは自らの師匠にあたる、ゲンライにリナを預けることにした。剣聖と呼ばれるゲンライであれば、今のリナを十分に指導できると考えたのだ。
「この子が衝撃波を使うというのか?どれ、私にも見せてくれ。」


オカダは剣をリナに手渡し、先日リナが見せた技を披露するように言った。リナは何となく魚採りの時に使う技を披露した。手の先に暖かい力が流れ込む。剣に託してそれを投げつければ・・・。
剣を振った先の大木が裂けた。ゲンライはそれを見て、恐怖するとともに、将来の有望さを見た。
「オカダ、この子は大きくなる。我々以上にな。」
滅多に人を褒めないゲンライの言葉にオカダも納得と賞賛と驚きを隠せずにいた。
ゲンライは1人の秘蔵っ子、グレンを呼び出した。
「なんですか?師匠。」
澄んだ声の好青年。グレンは16歳の青年である。日々ゲンライのもとで修行をしている。
「今日からおまえの妹分になる、リナだ。仲良くしなさい。」

グレンが視線を落とした先にあどけない顔の少女がちょこんといる。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol