猫と二人- two persons with cat -
「でも、それでも怪我が治るまでは飼っているのと同じ事でしょ?
そうなると、それまでは賢二君が飼い主な訳で、飼い主としては、
やっぱり不安は取り除いてあげるべきだと思うの」
「不安って?」煙草に火を点けようとするが、オイルがないのか、
ライターは火花だけを散らす。
「そうねぇ、外敵の不安とか、食料不安とか、浮気の不安とか、色々」
「あれ? またそっちに戻るの?」
ようやく煙草に火が点いたのと、葉月の悪戯をするような視線が
美樹田を捉えたのは、ほぼ同時だった。
作品名:猫と二人- two persons with cat - 作家名:フジイナオキ