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神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP

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 システラムはエラートに笑顔を向ける。
「じゃ、じゃあ二人は・・」
 カスクがシステラムに訊く。
「ええ、少し体をお借りしています」
 システラムはラーリスとクリシアの体を融合して存在していた。
「ナゼ、ここに、イル!」
ドッ
 カオスグレイブから壁が放たれる。
 だが、システラムに到達することなく途中で空間に消えていく。
「おやめなさい。私がこの状態で存在している限り、あなたの行動は意味を持ちません」
ガラ・・・ン
 エラートは剣を地面に落とす。
「ナ・・・ゼ・・・・だぁぁぁぁっ!」
ドバァァァァァァ・・・
 エラートが両手を天に広げると、黒い文字が広間を埋め尽くす。
 先程より強力で、城の外にも広がっていく。
「おお、ようやく出てきおったな」
「え?」
 クリエンテ達は空中に逃れていた。
「ほれ、おぬしの良く知るものが居るであろう」
「・・・!、システラム姉様!」
 エラートの拡散は続いていた。
 システラムは正面からエラートを抱きとめる。
「もう、終わりにしましょう」
 システラムは攻撃するでなく、エラートを説得する。
「・・おレ・・約束・・・しタ・・」
「あの者はマスターではありませんよ」
「!」
 エラートは驚愕の表情でシステラムを見る。
 システラムは笑顔でエラートを見つめる。
「ホンとう・・か・・?」
「はい。あの時、あの者に致命傷を与えられ、あなたに攻撃された時には、もう伝える手段がありませんでしたから。こうやって存在を維持する位までね」
「・・・・・」
 エラートの拡散が収まり、辺りが見えてくる。
 城はもう無くなっていた。かろうじて建物があった痕跡ぐらいしかない。
 ようやく、戦いの終わりが来た。

「姉様!」
 マティカはシステラムに飛び付く。
「久しぶりですね、マティカ。あなたにも苦労をかけました」
 マティカは首をぶんぶんと振ると、
「姉様が存在してくれるだけで嬉しいです!」
 マティカはそのまま泣きじゃくる。
 クラーゼスはクリエンテを見ていた。
「貴様が覇王だと?」
「うむ、正確には覇王の欠片なのだがな。故あってこの娘の中に封印されていたのだ」
「・・・確かにクリエンテに潜在能力らしきものがあったから側近にしたのだが・・」
「ほんとにクリエンテなの?何かが憑依したんじゃなくて?」
 アクビアがクリエンテに問いかける。
「そうだぞ、ど馬鹿」
「なっ・・・た、確かにクリエンテだわ・・」
 アクビアは顔をひきつらせて言う。
「まあ、私をどうしようとクラーゼスの物だ。封印するにしろ、このままでいいにしろ、おぬしの好きにするがいい」
「・・・いや、しばらくこのままで話をきかせてもらおう、覇王の存在に興味があるのでな」
「さて、皆さん」
 システラムが皆を注目させる。
「話す前に、まずお二人を返しますね」
 システラムの体から、左右にラーリスとクリシアが出てくる。
「ラーリス様」
「クリシア!」
 ケストエルとカスクが二人に駆け寄る。
「大丈夫ですよ。システラムさんになってた時のことは覚えていますから」
「はい、兄様も安心してください」
 二組は抱き合って喜んでいた。
「では、事の発端ですが・・」
 システラムが話し始めた。
 エラートの動きがおかしいと感じたシステラムはエラートの世界に向かう。そこでマスターに良く似た人物とエラートを見つける。問答無用で二人に攻撃を受けたシステラムは致命傷となり別次元へ跳ぶ。その時力が尽きかけていたのでクリシアの体に憑依した事。
「マスター・・は・・コノ世界・・埋メろと・・いった」
 マティカを確認したシステラムは暗号を送った。[裏]というのはマスターではないこと。
「マスターではない?」
「はい、あの者は間違いなくマスターではありません。少なくとも私に説明もなく攻撃することはありえません」
 時が過ぎ、もうあと5年もあればあのままでも復活はできた事。
 エラートがこのまま増殖をしていたら、別次元にも影響を出していた事。

 全てを話し終えたあと、システラムはマティカとエラートを近くに呼ぶ。
「では、私達はマスターに良く似た人物を追跡してみます。皆さん、ありがとうございます。何かあった時は力になりますので」
「いえ、そちらもご無事でいてください」
 ラーリスがそう言うと、システラム達は空間に消えていった。
「終わったな・・・」
「はい、これが[運命]の答えだったんですね。あのままなら、私達の世界にもエラートさんが現れていたかもしれません」
 ラーリスはカスクとクリシアを見て、
「お二人がいなければこの戦いに負けていた事でしょう。改めてお礼します」
 ラーリスとケストエルが頭を下げる。
「いや、世界のために戦ったんなら俺達と同じだよラーリス。ありがとう」
 互いに礼を言い合った後。
「では、これからどうしましょう?兄様」
 クリシアがカスクに尋ねる。
「お二人はこの世界の生まれですから、この世界に残るというのも選択肢の一つですよ」
 ケストエルが提案する。
「そうだな・・」
ガバッ
 カスクが後ろからクリエンテに肩に抱きしめられる。
「私達の魔界に来るものいいぞ、この娘もおぬしに来てもらいたがっているしな」
「ちょ、ちょっとクリエンテさん!それはダメです!」
 クリシアがクリエンテをほどこうとする。
「ほう、我は別に構わんぞ、原初の力というのも解析できていなかったしな」
「そういうことなら私も反対です。クラーゼス。これ以上強くなられては困りますから」
 クラーゼスの勧めにラーリスが反対する。
 あれこれ言い合った後。
「それで、カスクはどうしたいんだ?」
 しびれを切らしたハーガルスがカスクに問いかける。
「・・・そうだな・・・」
 カスクは一同を見渡し、
「とりあえず、元の世界に帰るよ」
 崩れた蛍光城を見て、
「この世界はこの世界で生きる人たちが守っていけばいいし、なにより、お袋に騎士の選抜試験に合格した事を報告しなけりゃならないからな」
 そう言うカスクにクリシアも笑顔で、
「そうですね、私もお父様に無事に兄様に出会えた事を伝えなければなりませんから」
 そうして二人で笑いだす。
 しばらくして、クリズやレイミール達に別れを言い。元の世界に帰って行った。
 そうしてこの世界に記録が残る。
 かつて、神王と魔王がこの世界を救った事を。