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貴方が望むなら[前編]

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胸のどこかが、風を孕んで寒さを感じる。そうなんでもないことのように告げるヤワに、少女は呆れた顔を隠しもしなかった。メリルカルシェを眺めて鈍感にも過ぎるなぁとため息をついて同意を得ようとする。
「おうちへお帰りよ、お前の住む場所に、わかいのを連れて……お前はもう少し知るべきだ」
知りたいと思う、ことすらできないのだろうから。せめて。
「お前はお前が住む場所をもう少し、知るべきだ。お前じゃ気づけないだろうから、若いのもつれて、な」
「トリゴエ?」
「なあ、ヨガタリ。我はたぶんお前が一番好きだ。カイ、カプリ、ヒューマ、プロフェの中でお前を一番気に入ってる……これはもしかしたら我がカイだからかも知れない」
カイはアカナキの写し身で、プロフェはヨドリの写し身だ。カイがプロフェを一番に考えるのは当然なのかもしれない。
それでも。
「でも我は、お前だから気に入ってると思うんだ……我がカイだからとか、じゃなくて」
「トリゴエ?」
「我はヒューマを哀れに思う。カプリを愚かだと笑う。それは我の感慨だ。カイのじゃない。カイなだけならばあの二人がしたかったことしていること、それを否定する要素なぞ何一つないよ」
思うこと感じることはあれど、それは否定に繋がらない。
「それでも我はあの二人に思うところがある」
それは、お前を気に入ってるからだ。
「だから言うけどな。ヨガタリ、お前このままだとヒューマに負けるじゃないか」
負けたくなかったら、とっととおうちに帰って、自分を調べなおしておいで。




後編へつづく。
作品名:貴方が望むなら[前編] 作家名:有秋