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さかきち@万恒河沙
さかきち@万恒河沙
novelistID. 1404
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Light And Darkness

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「無駄な抵抗だな。二千年来の反逆軍討伐が我らのつとめ! 天照大御神に反旗を翻したこと、存分悔やむがいい、みずち!」
 ――ウ……ア……。
 あたりが騒然となってきた。みずちのおかげで不自然に震動する校舎の中にいる生徒たちが騒ぎ出したようだ。これだから、つねづね自分を餌に敵をおびき出しては始末する方法には多少の躊躇を感じているのだが、まあそんなこともいってはいられまい。とにかくいまは手っ取り早く終わらせて証拠湮滅することが先決。こればかりは一般庶民に露見すれば平穏無事では済むまいから。まったく…生きにくい世の中になったものだ。
「――――『秡戸大神』!」
 悠弥はまっすぐ禍物を睨みつけ、禍物折伏の構えを取った。
「ここに禍物折伏を宣誓す。『生魂、足魂、玉留魂。国常立命』」
 右手に人差し指と中指で印を作る。『天沼矛印』と呼ばれるそれは、言霊と悠弥の中にある『神力』で作られる、禍物折伏の武器である。悠弥はそこに何かを宿すように精神を研ぎ澄ませて集中させる。言霊に導かれるように  その『印』の先端に光が生まれた。それもまた、摂理を捩じ曲げる力だった。光は瞬く間に輝きを増し、黄金の陽光のように眩い光になった。みずちはだらしなく開いたまま縛された首を、厭わしいものでもみるようにのけ反らせ、必死にそれに抵抗しようとする。
 悠弥は厳然としてそれを許さない。
 ――ヤ……ヤメ……!
 昼間の太陽も怯むほどの閃光弾が、みずちに終りを告げる。剣のごとく右手を翳し、そして悠弥が裂帛の気合いとともに振り下ろす!


 ――ギィヤァァァアア――――――――ッ!


 閃光が、悠弥の指先から迸って空間を大きく裂いた。もしもこの光景を目撃したものがおれば、校舎の屋上で目も眩む照明弾が炸裂したように見えたろう。昼間でさえ、その光が影を作るくらいに。
 光は圧倒的な刃になり、みずちを討ち滅ぼさんと牙を剥く。
 不浄の穢れを灼き滅ぼす、清冽な神威――。
 輝きの太刀をあびたみずちは、光に砕けた。
 あおりくる風をやり過ごそうとした――その、刹那。それがみずちの最期、抵抗であり渾身の一撃だった。
 ――オノレ『御師』! 不様ニ生キ残ッタ貴様独リ……! イッタイイカホドノコトガデキヨウカ! 愚カハ貴様デアロウガ……!
「――――っ!?」