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だいなまいと そのさん

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 本当に、俺はそう思っていた。堀内が誘うなら、それもいいか、と考えていた。だが、花月は違った。それこそ、また顔色を変えて、「あほかっっ。減るっちゅーーーんじゃっっ。寂しかったら、俺がおる。俺がずっとおるから、寂しいことはあらへんっっ。」 と、叫んだ。
「意味がわからへんのやけど? 」
「寂しいのを、安易に埋めたらあかん。愛人なんてせんでもええ。倫理観がどうとかやないんや。おまえは、ちょっと壊れてるから、そんなこと、簡単に言うけど、俺はイヤや。」
「だからな、落ち着け、花月。・・・だいたい、なんで、おまえが俺の借金を返済するんや? そこからしておかしいやろ? 」
「・・・おかしない・・・」
「え? 」
「俺にとってはおかしないねん。これから、ずっと、俺はおまえの傍に居座るつもりやから、これでええねん。」
「・・え・・・」
「俺は、おまえの傍におるって決めたから。就職したら、同じ家に住むつもりやし、もし、それがイヤやったら、隣同士でもええ。そういう関係でおるつもりやから、これでええ。つべこべ言わんと、これを払ってくれ。」
 真剣に、花月はそう言った。その言葉が嬉しかったのは事実だったが、それを、その当時の俺は理解できなかった。とりあえず借りておこうと受け取った。ただ、「ずっと傍に居る」 という言葉が、腹の奥にすとんと落ち着いたのはわかっていた。
作品名:だいなまいと そのさん 作家名:篠義