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山行記

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5月1日 くもり時々雨



<北俣本谷〜吊尾根BC>
 大町からタクシーで大谷原へ。そこで朝食をとり、準備を整える。
 空模様はどんよりしていて今にも降り出しそうだ。今年は雪がかなり少なく西俣出合まではほとんど雪がなくなっていた。雨は次第に激しくなり、そこで雨具をまとう。

 大冷沢本谷を詰めていくが、各自それぞれのペースで歩くので、いくつかの集団に分かれ、無論私はマイペースでうしろのほうを誰に気兼ねすることもなく黙々と歩いて行った。半袖でちょうどいいくらいである。
 沢筋は雪崩の起きやすい状態となってきたので、ダイレクト尾根にルート変更。アイゼンを着けて、急斜面を確実に登って行く。草付きの露岩が結構しぶく、また微妙なバランスが要求されたりして、そういったところでは疲れもどこかへ消え、必死の思いで攀じ登っていくのだ。
 そしていつの間にか我々は南峰へたどり着いていた。記念撮影に、ちょっといい顔をしてみせる。
 北峰に向かって10分ほど下った所が少し開けていて、そこから急斜面を選んでBCの雪洞作りに取りかかった。もう17時をまわっている。全員協力して10人分のスペースの立派な雪洞を完成させたのは、すっかり暗くなってからだ。

 古いゴアテックスの雨具をまとっている私は全身びしょぬれ、おまけに靴の防水性もゼロなのだ。それでも楽しい夕食の団らんにくつろぎを得た。食糧も燃料も各自持ちで、10個のEPIガスの炎が雪洞の中を暖かくしてくれていた。

  大谷原  7:30 | 就 寝  22:00
    南 峰 16:30 



5月2日 雨

<停滞>
 朝からの雨に視界も悪い。天気図をとるも2つの低気圧が控えており、また前線が日本を長くおおっていて次第に荒れてくるようだ。
 停滞となる。
 雨漏りがひどくなってきた雪洞の中は必ずしも快適であるとは言えないが、歌声を響かせ、供出できる食べ物を分け合い、そして飲み、退屈さを感じさせないで時は経過していった。

 午後からは雪洞の修復、拡張工事である。
作品名:山行記 作家名:健忘真実