齟齬
僕がきみに
どんな気持ちと尋ねたら
きみは笑って
何も言わずに指差した
僕がふいに
どんな空かと仰いだら
空は暗くて
雨が僕らに降り注ぐ
僕はきみを
きみの瞳を覗き込む
きみは笑って
何も言わずに僕を見る
僕はきみが
どんな気持ちかわからない
きみは一体
どんな気持ちで見ているの
僕には空が
とどまることのない涙に
そんな悲しみに
どうやったって見えるのに
きみには雨が
涙には見えないのかい
きみの笑みには
どういう意味があるんだい
きみは僕に
ただ微笑んで空を指す
きみの気持ちが
どうやったってわからない
僕はきみに
言葉が欲しいと伝えたい
だけれどもし
それでもわからなかったなら
僕の悲しいと
君の悲しいが違ったら
僕の嬉しいと
君の嬉しいが違ったら
僕はついに
ついに気が付いてしまった
僕はきみを
どうやったってわからない
わかるのはきっと
僕にしかわからない雨
それだけなんだ
ついにそれに気が付いてしまった
それに気付いて
僕は空を指差した
きみに向かって
たった一人の孤独を胸に