あなた=?
「何処へ行くのも一緒に」
机の上に広げられている大陸地図。
「使用人達の情報によると大臣達はこの屋敷に向かっている。結構な速さらしい」
椅子に座っている動きやすそうな水色を中心とした服を着たシレーヌは大陸地図の一カ所を指さし、次に海の近く、つまり屋敷を指差す。
「遅くて一日。早くて今日中だ」
シレーヌは手を引っ込めると同じく椅子に座っているレグルスを見た。
レグルスは地図を睨みつけるように見ていたが顔を上げる。
「大臣が連れている兵士の数は?」
「百人以下。兵士達が歩いて行くのを見ただけらしいから正確な人数はわからない」
「……今から大臣のほうに馬で走ればどれくらいに会う?」
シレーヌはゆっくりと地図に視線を落とした。
「夕方以降……だろうな」
レグルスも再び地図に視線を落としたがゆっくりと深い溜め息をはいた。
「……行く、のか?」
シレーヌはレグルスを見たがレグルスはシレーヌと視線を合わさない。
「……やれることはやってくるつもりだ」
レグルスはゆっくりと立ち上がると椅子を仕舞おうともせずに部屋の出口に歩いて行った。そしてドアノブに手を掛ける。
「……私は大臣に少し話があるんだがな」
「は?」
レグルスは振り向いてシレーヌを見た。
「――連れてけ」
レグルスは呆然とシレーヌを見ていたが溜め息をつくとシレーヌのほうに歩く。
「さっさと行くぞ」
「わかっている」
シレーヌは差し出されたレグルスの手に掴まった。