あなた=?
「どう、しろと?」
「――きろ! レグルス! 起きないと、殴るぞ……!」
「……いきなり殴るはないだろ」
レグルスはゆっくりと目を開けるとまだ明るい青空を見た。
「……また海か」
レグルスは足に海に浸かっている状態で砂浜に寝転がっていた。その状態でレグルスは溜め息をついているシレーヌを見た。
シレーヌは海から離れるかのように浜辺の、レグルスの遠くに座っていた。
「何処なんだ。ここは」
「屋敷の近く」
目を覚ましたときと同じようにレグルスは空を見た。
「偶然……じゃあ、ないな」
ゆっくりと体を起こしたレグルスはそのまま立ち上がると蒼い海を見た。
「シレーヌ、ここについた理由は聞いていいか?」
「……今は、聞くな。そうだな……遅くても大臣の件が片付いたら、だな」
レグルスは軽く息をはくと海岸から上に行く階段に体を向けた。
「ひとまず紋章だな……」
レグルスは怠そうに砂浜を歩き始めた。
「……レグルス」
小さい声で呼ばれたレグルスは振り返り、そしてまだ座っているシレーヌに近づいた。
「何か問題でもあるか、紋章取りに行くのに」
頭を下げているシレーヌは小さく頷いた。
レグルスは首を傾げながらもシレーヌの目の前に立つとシレーヌはレグルスの服を軽く掴み、頭を上げた。
「歩けない……」
「……どう、しろと」
困惑しているレグルスに顔を背けるように再びシレーヌは頭を下げて小さく何かを言った。
「―――」
「………」
小さな声が言ったことにレグルスは何も答えることが出来なかった。
一方少し震えているシレーヌは何かを決めたかのように顔を勢いよく上げた。