片恋
わたしのすきな人には、すきな人がいます。言葉にしてみると、こんなにめんどくさくてややこしくて不毛なものはないなと自分でも思えて笑いが込み上げてきた。そう、わたしのすきな人は、片思いをしているのだ。
「ねえ、」
「ん」
なにみてるの、と尋ねようとしたのだけれど、そんな馬鹿馬鹿しい質問もないだろうと気づき何も言えなくなって黙ってしまう。わたしは、彼の前でのわたしは、とても大人しい少女だった。(普段のわたしは我が儘でとても大人しいなんて言えない。)そして聞き上手で、頼れて、的確なアドバイスをくれる、彼にとっては恋の相談役だった。(どうしてこうなってしまったのだろうとはもう考えていない。どうして、を何十回何百回と繰り返すよりかは、相談役でも何でもいいから彼の近くにいたいと思うわたしはきっと心のどこかで諦めているのかもしれない。)
「なにみてるの」
ああ、わたしの馬鹿。
「ねえ、」
「ん」
なにみてるの、と尋ねようとしたのだけれど、そんな馬鹿馬鹿しい質問もないだろうと気づき何も言えなくなって黙ってしまう。わたしは、彼の前でのわたしは、とても大人しい少女だった。(普段のわたしは我が儘でとても大人しいなんて言えない。)そして聞き上手で、頼れて、的確なアドバイスをくれる、彼にとっては恋の相談役だった。(どうしてこうなってしまったのだろうとはもう考えていない。どうして、を何十回何百回と繰り返すよりかは、相談役でも何でもいいから彼の近くにいたいと思うわたしはきっと心のどこかで諦めているのかもしれない。)
「なにみてるの」
ああ、わたしの馬鹿。