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ある詩人による光の世界と星々の戦争の話

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 夜明け前、サンタクロースさんや皆がやって来て、プラットホームでお別れをしました。私達は星の子やその恋人、その他の星達やサンタクロースさんに手をふって、機関車に乗りこみました。
 窓を開けると、「ありがとう。これも全て君達のおかげだよ。これで光の世界は平和になり、君達の世界の戦争も終わるだろう。よいクリスマスを!!」
 とサンタクロースさんは満面の笑顔で言いました。「さようなら、皆さん!!」と私が言うと、うさぎの車しょうが、「それでは発車いたします」と声高々に叫び、機関車が加速し始め、レールから離れて、浮上すると、車窓から赤いコートとズボンをはいたサンタクロースさんがそりから手をふってくれていました。そして私達は一緒にあおい光があふれている穴をくぐりました。


 私達の世界の駅に着く頃には、朝日が昇ろうとしていました。地上をながめていると、なんと、かなたの戦地の炎が消えていました。私とマリアは戦争が終わったことを心からよろこび、両手を合わせました。機関車を下りると、私は元の姿に戻り、マリアは美しい大人の姿になり、
「辛いこともあったけれど、最高のクリスマスプレゼントだったわね」とほほえみました。するとマリアの姿が朝日が昇ってくるにつれてゆっくりとすけていってマリアは、
「もう会えないけど、私のこと忘れないでね…」
 私はすけるマリアを抱きしめ、キスをすると完全に消えていきました。手のひらにははさみを入れた切符が二枚ありました。
 その日の朝早く、ラジオ放送で戦争が終けつしたことを聴きました。


 私の病気が完治して、春に大学へ戻る前に、この孤児院の墓地にマリアの墓が立つことが決まったので、遺品と共に切符も一しょに入れました。毎年のようにお世話になった人達に会うために帰郷し、満月の夜にマリアの墓の前でひざを折り、両手を組んで天国でマリアと会えるように強く強く願いました。大学を卒業すると、他の国の孤児院で働きながら、詩を書いては子供達に聞かせていました。今は詩人となり、たびたび各地を放ろうしながら詩を書いています。旅先でクリスマス・イヴが近付いて来ると、今お話したことを思い出します。今でも、昨日の事のようにせん明に覚えているのです。


 これで私のお話を終わりたいと思います。今日、このクリスマス・イヴに私の育った孤児院で皆さんにお話ができたことをとてもうれしく思っております。最後までお話を聞いていただいて本当にありがとうございました。あなた達にも素敵なクリスマスが訪れることを心から願っています。