七不思議解明部
白骨化した人を避けて俺と知里は更に奥へと進む。
知里は俺の肩に手を置き震えながら歩いている。
震えてしまう気持ちも分かる・・・あんなのを見てしまったんだ。
正直、俺の身体も実は震えているのだ。
知里の震えがすごくて俺の震えはかき消されてしまっているが。
「なぁ知里・・・お前外で待ってたほうがいいんじゃないか・・・??」
あまりの激しい震えを気にして俺は知里に提案をする。
「ゆ・・・悠ちゃんだけ怖い思いしちゃうじゃん・・・あたしも行く・・・」
しかしその提案はあっさりと却下されてしまった。
と、言いつつも俺は却下されて安心していた。
俺だってここを1人で行くのは嫌だったし・・・。
それでも男として女に気を配らないといけないと思った。
再びゆっくりと足を進めて奥に行く。
すると奥から女の子のすすり泣くような声が聞こえてきた。
その泣き声に一瞬驚いたがすぐに落ち着きを取り戻すことができた。
その声はあの女の子かもしれないという考えが頭に浮かんだからだ。
知里も女の子の泣き声を気にしているのか先ほどより落ち着いている。
足を前に進めていくと、声もだんだん大きくなってくる。
そしてその泣き声の元へとたどり着いた。
ライトで照らしてみると小さな女の子がそこに座っていた。
女の子の目の前には白骨化した人が横たわっていた・・・。
やっぱりさっきの女の子だったんだ・・・目の前にある白骨は・・・。
「この人・・・美代のお姉ちゃんなの・・・」
女の子は白骨を眺めながら話す。俺たちに気付いていたのか・・・。
「美代ちゃんっていうのは・・・君の事??」
「うん・・・」
ここにある白骨は戦時のもの・・・か・・・。
この子・・・美代ちゃんはこんな小さいのに辛い思いをして・・・。
「お姉ちゃんも・・・みんなも・・・みんな死んじゃった・・・」
・・・そうか。美代ちゃんが何故俺たちに幸せかどうか・・・。
聞いてきた理由はこういうことだったのか・・・。
「美代ちゃん、俺たち・・・幸せだよ」
「ちょ、悠ちゃん・・・今そういうこと言うときじゃ・・・」
「ホント・・・??」
知里の言葉を遮るように美代ちゃんが口を挟んでくる。
「うん、本当」
嬉しそうな顔をして、美代ちゃんの瞳からは涙が出てきている。
「そっか・・・よかった・・・」
美代ちゃん・・・この子すごくいい子だ。
自分たちの苦痛の日々より今現在の幸せを気にするのか。
すると、美代ちゃんの身体が透け始める。
「な、なに!?」
知里の声と同時に周りの白骨も透け、消え始めてくる。
「ありがとう・・・お兄ちゃんたち・・・」
可愛らしい笑顔で透けていき、満足したような顔で消えていった・・・。