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精霊の声が聞こえるか 2

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 美桜はさっきまでよりも早口で言い、そのまま部屋を出ていった。一階で母さんに「おじゃましました」と元気よく叫んでいるのが聞こえた。
「サク、あいつは何をあんなに喜んでいるのだ?それと『わとさん』とはなんだ?」
「あいつ、探偵ごっことか、大好きなんだよ。推理小説マニアでさ。特にシャーロック・ホームズが好きらしい」
「しゃーろっく?」
「あぁ、有名な推理小説の主人公だよ。さっき美桜が言ってた『ワトソン』っていうのは、名探偵シャーロック・ホームズの友人で、相棒だ」
 美桜はコナン・ドイルの書いたシャーロック・ホームズシリーズのファンで、その中でもワトソンという人物に憧れていた。俺は、まだホームズを読んだことがなかった中学生のころ「普通、主人公の方に憧れそうだけどな」と何気なく言ったことがある。そのあと美桜は、ものすごくふてくされた顔で「ホームズはワトソンという支えがいなきゃだめなんだよ!」と怒鳴っていた。小説を読んでみて、あの時美桜が言った言葉も少しはわかったつもりだ。
「相棒か……よかったじゃないか」
「人探しにおいて、人数が多いにこしたことはないからな」
 俺の言葉を聞いて、シルクが鼻で笑った気がした。
「まぁいい。そろそろ弓に戻る」
「戻れるのか?」
「あぁ今は安定しているから大丈夫だ。だいたい姿を消せないなんて、よっぽどのことがないと、普段は……」
「わかった、わかったから早く戻ってくれ」
 この短い時間でもわかるくらいシルクのプライドは高い。俺には、それがシルク自身のプライドなのか、ルーフとしてのプライドなのかまではわからなかった。
 シルクが弓に戻ったのを確認して、弓をケースに片づけた。そして、今までの非日常の会話を少しでも忘れようと日常生活に戻った。