小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

トゥプラス

INDEX|96ページ/115ページ|

次のページ前のページ
 

廃墟の病院


 楓が輝たちを連れてきたのは廃墟となった大病院だった。
 五年ほど前に潰れたこの病院だが、ここ数年は心霊スポットとして有名で、深夜になると若者たちが集まってくる。
 この病院が心霊スポットとして有名になったのは、病院の陰気な雰囲気と、そして何よりも、この病院を建て壊そうとした業者が祟りめいた天災に幾度も遭ったからだ。
 病院を建て壊そうとした途端、重機類のトラブルに見舞われたり、突如崩落して来た天上に押しつぶされて人がなくなったりと不幸が続いた。そして、今では手付かずのまま放置され、病院はより一層の不気味さを増していた。
 近年では、この病院でお化けや怪奇現象に遭った若者たちが急増して、そういった現象に遭った者たち尋常でないほどに怯えて誰もが無口な人間になってしまった。それが噂として広がり、一時は人足が減ったかのように思えたが、今では前よりも恐いもの見たさの若者が多く訪れる結果となった。
 噂が大きくなると、テレビ局や雑誌の取材がこの病院に来た。しかし、この病院の取材をした関係者たちは皆、病気や交通事故などに遭い、ここ病院は?本物?だとされ、それ以降テレビ局や雑誌の取材はタブーとされた。
 病院の概観を見ただけでも不気味だというのに、病院内は暗くじめじめした空気に包まれていた。
 輝は暗い廊下の中で身震いをした。
「なんか、この中寒くない?」
「霊が近くにいるのかもしれないわね」
 あっさりとした口調でそういうことを言う未空の方がよっぽど怖いかもしれない。
 大きめ懐中電灯を二つも使って廊下を照らすが、それでも光が闇に呑み込まれてしまうようで心もとない。
 輝は椛と手を繋ぎ、未空は楓と手を繋いで歩いているが、輝の方は椛に手を繋いでもらっていると言った感じで、手に大量の冷や汗をかいていた。
 椛と楓はぜんぜん恐がるようすもなく、楓は未空の手を引っ張って先にどんどん行こうとする。
「早く、こっちだよ、あっ!」
 楓は先を急ごうとして何かにつまずいてコケた。片手を未空と繋いでいたためにうまく受身が取れなくて、ひざを擦りむいてしまった。
「……うぇ〜ん!」
 傷は浅いがそれでも楓は大泣きをし出してしまった。
「大した傷ではないから、泣かないで」
 未空が楓の手を引っ張り上げて立たせたが、まだ楓は少し嗚咽をしている。
「うぐっ……うっ……」