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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「まあいい、とにかく家の中に入れ、輝たちがどこに向かったのか考えよう」
 玄関で靴を脱ごうと綾乃がしている時だった。ベランダの窓ガラスが叩き割られるような音が聞こえてきた。
 悠樹はすぐさま現場へ向かい、綾乃も靴をは履いたまま悠樹に後を追った。
 窓ガラスが割られ、室内にガラスの破片が散乱していた。そして、部屋の中には見るからに恐ろしい顔の子鬼がうろついていた。
 言葉を出せないで立ちすくんでいる悠樹と綾乃に気がついた小鬼は、睨みつけながら話しかけてきた。
「椛ハ、ドコ行ッタ?」
 たどたどしい日本語であったが、低く重い声は恐怖感をさらにあおった。
 後ろに一歩下がろうとした悠樹に小鬼が蛙のように飛びかかって来た。
 小鬼は悠樹を押し倒し、抵抗していた悠樹をおとなしくさせるために自分の息を大きく吹きかけた。するとどうだろう、悠樹はすぐに気を失ってしまったではないか!
 小鬼はすぐさま綾乃にも飛びかかろうとした。
「来ないでよ!」
 どうにか小鬼を振りきった綾乃は部屋中を見回した。何か武器になるものはないか?
 必死の抵抗をして綾乃は逃げ回りながら、そこら中にある小物を小鬼に投げつけるが、小鬼にはびくともしない。
 パニックに陥っていた綾乃はやっとあることに気がついた。武器は最初から手に持っているではないか。
「アタシってホントバカ、どうして気づかなかったんだろ」
 袋から急いで弓矢を取り出し、綾乃は鬼に向けてその弓矢を構えた。弓道などをやったことのない綾乃の弓の構え方は様にはなっていないが、鬼はそれを見て怯んだ。弓矢の発する霊気に恐怖を覚えたのだ。
 綾乃は矢を弦にかけて後ろに引こうとした。
「あれ、どうして?」
 矢が引けない。綾乃に力がないからという単純な理由ではなく、この弓矢は霊力の強いものしか使えないようになっているのだ。
 先ほどまで恐れをなして動けなかった小鬼であったが、綾乃の右往左往するようすを見て蛙のように飛びかかって来た。
「きゃーっ! ヤダ、放してよ」
 綾乃は両腕を掴まれ上に乗られて自由を奪われてしまった。暴れようとするがそれもできない。
 小鬼は大きく息を綾乃に吹きかけた。すると、綾乃も悠樹のように深い眠りに落ちてしまった。