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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 神器である弓矢は盗んでくださいと言わんばかりに、強い存在感で遠くから見えるようば位置に堂々と置かれている。
「あんなわかりやすく置いてあるなんて、盗まれないのかしら?」
 今ここにあるということは、恐らく盗まれたことがないということだろう――今の今までは……。
 心臓バクバクの武が見守る中、綾乃はすんなり易々と弓矢を手に取った。
 その時、場の静かな空気を一気に壊すように扉を開く音が鳴り響いた。
 綾乃と武が急いで振り向くとそこには、日の光を背に浴びた人影が!
 武は思わず叫んだ。
「じっちゃん!」
「おぬしら、神器をどうする気だ、神罰が下るぞ!」
 威圧感を含んだ恫喝で武はすでに目に涙を溜め、綾乃も身をすくめて弓矢を落としてしまった。
 弓矢が床に落ちた音で我に返った綾乃は、ひどく慌てたようすで弓矢を拾い上げて言葉を口から搾り出した。
「ご、ごめんなさい、えっと、その、あの、弓矢を盗もうとしてごめんなさい。あと、落としちゃいましたけど、たぶん、壊れてませんから……」
 バチン! と弓の弦が切れた
 綾乃は蒼ざめ変な汗がどっと流れた。すぐ横にいた武も完全に固まり、声すら発せられなかった。
 どっしりとしていて威厳のある足取りで葉月老人は綾乃の前まで来た。思わずここで綾乃はごくんと喉を鳴らす。
「何てことを仕出かしてくれたんじゃ。そのレプリカなかなかの値段なんじゃぞ」
「はっ、レプリカ?」
 思わず聞き返してしまった綾乃から弓矢を取り上げた葉月老人は、どうにかして弦を直そうとしながら話した。
「この弓矢は壊れたり紛失してもよいように本物ではなくレプリカでな、本物は厳重にしまっておる。盗もうとしたんじゃろうが、残念じゃったな」
 内心ほっとした綾乃と武であったが、この後にまだ怒られるのではないかと冷や冷やしていた。
「壊れてしもうた物は仕方がない。形あるものはいつかは壊れるものじゃ。さて、二人とも、盗んでまで弓矢が必要な理由を言うてみなさい。場合によっては貸してやらんこともない」
 まさかの展開に綾乃と武は心弾ませた。そして、二人の話を聞き終わった葉月老人はある条件を出した。
「そうか妖怪が……この矢はもともとそのための物じゃし、よし、貸してやろう、一万円で」
「一万円って何だよ、じっちゃん
「レプリカの修理代じゃ」