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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 何語ともつかぬような呪文を唱え、椛にそれを架けようとしたその時だった。尊は思わぬ妨害を受けた。靴が飛んで来たのだ。
「よっしゃー、ヒット!」
 遠くには綾乃と靴を履いていない輝がガッツポーズをして立っていた。
「輝、あの人月夜霊さんみたいだけど、靴当てちゃってよかったのかな」
「何か、悠樹たちに危害加えそうな雰囲気だったからいんじゃないの?」
 二人は現状が掴めていなかったが、輝は何となく靴を飛ばしたのだ。
 椛は急に酷い頭痛に襲われた。尊の術を受けていたのだ。
 頭を押さえながら椛は狂気の形相で地面に膝をついた。そして、信じられない現象が起った。
 椛がまばゆい光に包まれたかと思うと、次の瞬間には幼児化して二人に分裂したのだ。それも二人の見た目は瓜二つだ。
 この場所にいた全員が驚きを隠せなかった。
 力を消費した尊は地面に膝をつき眉をひそめた。
「やはり先ほどの邪魔で術が失敗していたか……」
 輝たちも何がなんだかわからないまま駆け寄ってきた。
「何だよ、椛ちゃんが二人?」
 琥珀が目にも止まらぬ速さで動いた。そして、尊と二人の椛を抱きかかえると逃走しようとした。しかし、一人の椛が激しい抵抗をして逃げ出した。
 琥珀は逃げた椛を捕まえようとしたが、二人を抱きかかえているだけでいっぱいだった。
「仕方ない、今日のところは両者ともに深手を負ったので帰るが、すぐにもう一人の椛を連れ戻しに来るからな!」
 そう言って琥珀は人間業では到底なしえないジャンプ力で天高く飛び上がり、そのまま住宅の屋根などを飛び越えながら消えていった。
 輝が突然叫んだ。
「わけわかんねぇーよ! 何か映画で一番重要なシーン見逃した感じだよな。よし、俺んちで会議だな」
「待て輝」
 悠樹が声をかけた。
「その前に星川さんを病院に連れて行きたいのだが?」
 先ほどから未空は悠樹に抱きかかえらたままだった。そんな未空を見て輝は今更気づいた。
「まさか、その赤いのって血なのか!?」
「ホントに!?」
 綾乃もびっくりした。二人とも琥珀と尊に気を取られて気づかなかったのか、それとも二人があまりにも鈍感なのかだ。
 未空はゆっくりと目を開け、悠樹の肩を借りながら立ち上がった。
「大丈夫だから心配しないで……。傷は椛ちゃんに治してもらったから……ただ、ちょっと貧血」
「な〜んだ、だいじょぶなのか」