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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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「待っていましたよ琥珀」
 椛の姿は巫女装束に着替えられていた。本来は自らの衣装は自らの力によって変えられる力を持っているのだ。それは姿にも応用される。
 少女であった椛が光に包まれたかと思いきや、次の瞬間には、椛が立っていた場所には巫女装束を着た大人の美女が立っていた。――これが椛の元の姿だったのだ。
「力を取り戻したのか椛?」
「ええ、神の時の力とは別の力が私の身体の中には宿っていますが、その力の大きさは昔と変わりません」
「そうか、よかった。椛が元の姿に戻って本当に僕はうれしいよ。その力があれば大きな術を使うことができ、僕らの計画に大変役立つことだろう。椛、僕らの計画に協力してくれないか?」
 椛は首を横に振った。
「それはできないわ。けれども、あなたの言ってる術とは何なの?」
「僕らはこの大地を使って世界中にいる同志たちと交信し、この小春市に呼び集めたい。そのためには土地神である椛の力が必要なんだ。土地の全てのエネルギーを直接使えるのは椛、君しかいない。僕らでは少しくらいの土地のエネルギーを借りたり使ったりすることはできても、大量のエネルギーを一度に操ることができるのは土地と密接な関係にある椛しかいないんだ」
「そうね、私がこの土地に呼びかければ大きなエネルギーが操れるでしょうね。そうすれば、世界中に交信することもできるし、エネルギーを集中させれば都市一つくらいなんて簡単に吹き飛ばせるでしょう」
「そうだよ。そのエネルギーを使ってこの小春市を完全に外の世界と隔離する計画なんだ。外からの侵入者を一切拒み、中にいる人間たちは幻の世界で生きてもらう」
 椛はすごく哀しそうな瞳で琥珀のことを見つめた。
「やはり貴方と私は全く違うのね」
「仕方ないよ。僕は人間の恐怖心から生まれた存在なのだから……」
 こう言った琥珀の瞳もとても哀しそうで、遥か遠くの何かを見つめていた。