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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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トゥプラス

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 誰かの視線を感じた悠樹はその方向を見た。そこに立っていたのは椛だった。
 心配そうな瞳で自分のことを見つめている。そう思った悠樹はすぐに視線を逸らせてしまった。
 椛にとって最善だと判断した自分の考え――。『一週間は待ってみる』、そうは言ったものの、悠樹の気持ちは複雑だった。
 人の幸せはそれぞれで、椛の記憶が戻り何らかの解決策が出るまで自分らで面倒を看る。この選択肢は誰の幸せなのか?
「椛はどうしたい? このまま記憶が戻らなかったら俺たちと暮らしたいかい?」
「うん、ここにいてもいいなら悠樹たちと一緒にいたい……。だって、悠樹も輝も綾乃お姉ちゃんも、み〜んな大好きだもん!」
「……俺も椛のこと好きだよ」
 悠樹は判断を保留とした。椛のことを今後どうするか、わからなくなったからだ。
 気分を切り替えようとした悠樹だったが、椛と二人きりにされて何をすればいいのかわからなかった。
 昼下がりの二時過ぎ。昼食はまだ食べていなかったが、昼食を食べない悠樹には椛に食事を作ってあげるという発想が浮かばなかった。
 綾乃を呼ぶという選択肢も考えたが、綾乃を頼ってばかりではいけない。椛と二人きりになることは今後もあるだろうから……。
「椛ちゃん何かしたいことある?」
「ううん」
「何かして遊ぼうか?」
「お話聞かせて、悠樹やみんなのお話。みんなのこといっぱい知りたいから」
「じゃあ、ソファーに座ってゆっくり話そうか」
 時間はすぐに過ぎ去っていった。
 悠樹は友達との楽しかった思い出や、小さい頃は輝につられて悪戯を一緒にしてよく怒られていたこと、昔は妖精や幽霊など、そういったものを信じていたことなどを話して聞かせた。
 椛は自分のことを覚えていないので、ずっと聞き手に回っていたがすごく楽しそうに悠樹の話を聞いていた。
 だいぶ時間が経過してしまったことに悠樹は気づき、はっとした。
「そうだ、夕飯の買い物行かないと」
「椛も行きたい!」
「そうだね、二人で行こうか」
 悠樹はソファーから立ち上がると椛に手を差し伸べた。うれしそうな顔をした椛が小さなその手で悠樹の手をしっかりと握り締め立ち上がった。
 そのまま二人は手を繋ぎ玄関を出た。この微笑ましい光景を輝が見たら絶対嫉妬するに違いない。
 スーパーは歩いて一〇分程の距離にある。