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CROSS 第7話 『動向』

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 社会面には、帝国連邦と幻想共和国間を結ぶ『日幻高速道路』(幻想共和国名…『幻日高速道路』)で交通事故が起きたことなどが乗っており、経済面には、急変動している為替レートのことなどの記事が載っていた。国際面には、『ファ・ディール』(『聖剣伝説LOM』の世界)という世界を訪れていた外の世界からのある貿易商人が、港町のホテルに宿泊していた際、幽霊に遭遇し、階段から転落してケガをしたことなどが載っていた。
 最後に政治面を見た。ここは幻想共和国内の政治についての話題がほとんどなので、彼は最初、斜め読みしていた。しかし、彼の目の色が急に変化する。
「……おい、ウソだろ!!! ヤバいヤバい!!!」
彼は叫び始めた。彼の突然の大声に、ブリッジにいた全員が驚いたが、すぐに自分の席を離れ、彼の元へ駆けつける。
「この記事を見てみろ」
彼は1つの記事を指さしている。駆けつけた全員がその記事を見る。その記事は中ぐらいの記事だった。

『(幻想共和国の)評議会は10日、CROSSが行なった他の世界への異次元間弾道ミサイル攻撃についての再調査のため公聴会を開くことを、賛成多数で決定した。参考人聴取のため、CROSSの山口氏らを招致するという』

 上のがその記事である。要約すると、聞きたいことがあるから来いということだ。記事を読んだ全員が、最初は沈黙していたが、
「……再調査なんてしてたんですか」
佐世保が記事をみつめながら言う。
「どうしてもオレたちを犯罪者にしたいみたいだな」
「批難するつもりではありませんが、あのとき我々が行なったことは非人道的で、異次元中に大きな影響を与えるものでした。犯罪者にしようとする国が出てくるのは当然でしょう」
ヘーゲルが山口の顔色をうかがいながら冷静に言う。
「……あのときは仕方がなかった! ああしなければ問題を解決できなかった!」
「……山口少佐、下手すればまた経済制裁をくらいますよ?」
これはウィルだ。
「今は幻想共和国も戦時中だ。混乱させることはできないだろう」
「公聴会では変なことを言わないでくださいね。俺たちも恥かきますから」
ガリアが心配そうな表情で言う。
「誰が出席すると言った? そりゃあ、スカーレットさんが出席したら、オレも出席しなけりゃヤバいが……」

 山口は一息つくと、集まってきた面々に持ち場へ戻るよう命令した。佐世保たちは渋い表情で戻っていく。
 全員が持ち場に戻った後も、彼はその記事を何度も読み返していた。やがて、彼は新聞を指揮官席のすぐ横にある小さいテーブルの上に置く。そして、彼は紅茶を全て飲み干すと、じっくりと思案にふけ始めた。