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CROSS 第7話 『動向』

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第1章 届いた新聞



   第7話 『動向』

【時間軸】・・・異次元暦42733年 10月26日
【位置】・・・FF界雲第7世界から第1467号陸軍司令部基地
       (第4話の舞台となった基地)への道中にて



 山口と佐世保が、特務艦の格納庫のはしっこに置かれている物を眺めていた。それは金属製の物で、ちぎれたコードが何本も飛び出している。
「このガラクタがほんとに役に立つんですか?」
佐世保が苦笑しながら言う。
「ああ。中京都軍の開発部が、こういうモビルスーツの部品を欲しがっているんだよ」
「寄せ集めの部品でモビルスーツを造るんですか?」
「いや、あくまで参考にするためだ。うちの世界じゃあ造れない部品は使い回しするかもしれんが」
「まぁ、新しい技術を手に入れられるかもしれませんしね」
「そういうことだよ」
「……じゃあ、そこにあるオートバイ型ロボットは何ですか?」
佐世保が指さしたところには、一台のオートバイ型ロボットがスタンドに立てられた状態で置いてあった。ボデイの塗りつぶした部分には「CROSS」と汚い文字で書かれていた。まだ完全に乾いておらず、格納庫の照明が反射していた。
「守備隊の連中に譲ってもらった。陸軍本隊が来たし、もういらないってさ」
「使えるんですか? そもそも、山口さんはオートバイに乗れましたっけ? あのときも普通に乗っていましたが」
「人が乗ることは想定していないらしいけど、できるだけ転倒しないようにセンサーとかがついてるみたいだな」
「そうなんだ。それじゃ、私も乗ってみたいですね」
「それじゃあ、オレ達が自由に使えるように再プログラムしといてくれ。設定する名前は『ジャイロ』で」
「……はいはい、基地に着いたらやっときますよ」



 山口と佐世保は、格納庫からブリッジに戻ってきた。操縦席にガリア、通信席にウィル、そして、指揮官席にはヘーゲルが座っていた。ブリッジに山口がいないときは、代わりに副長や上級士官が座ることになっている。この場合は副長であるヘーゲルだった。ブリッジには他に数名の隊員がいた。佐世保が座るサーチ席には代わりの隊員が座っていた。
 ヘーゲルとその代わりの隊員は、山口と佐世保がブリッジに入ってきたことに気づくと、すぐに席から離れた。
「今のところは順調に進んでいます」
ヘーゲルが、山口に引き継ぎの報告をした。佐世保も引き継ぎを受けていた。