シルバー・ラビリンス
act.01 シルバー・カンタール
ある朝目を覚ましたら、私は見知らぬ場所にいた。
たぶんだけど、本当はまだ目が覚めてなくて夢が続いてるんじゃないか、こんな場所は本当は存在しないんじゃないか、なんてそんな気もする。
どこか部屋のようなんだけど、何もない。もっと妙なのは、壁も床も扉も、全部銀色ってところ。とにかく銀。どこまでも銀。もしかしたら自分の肌色まで銀になってるんじゃないかと思ってしまうくらい。
でも幸いそんなことはなく、皮膚はきちんと肌色をしていたし、着ている服もいつもの紺色のポロシャツに、黒地に紫のクロスが入ったスカート、白の靴下に黒い靴。……ってあれ、いつの間に私は着替えたんだろう?
髪に手をやってみると、意外なことに寝癖が付いていなかった。いつも20分くらいかけて整えても直らないから、シャンプーして無理やり直しているのが嘘のよう。その色は、染めたわけでもこの部屋に影響されたわけでもない。最初から銀(シルバー)なんだけどね。
作品名:シルバー・ラビリンス 作家名:アリス・スターズ