鬼と狐の宣戦布告
※一応、一瞬前の会話から始めよう。
「うぬよ、......いきなりで悪いと思うんじゃが、わらわを助けてはく
れんか?」
妖孤は凛とした声で言った。
「嫌だ」
俺は即答した。
それはもう、何言っちゃってんの? こいつは。みたいな蔑んだ目を添えてね
。
俺は、幽霊とか妖怪とかが大嫌いなんだよ。
なんてったって面倒くさいし。
「わらわは、九尾の狐じゃぞ」
「嫌だ」
......ん?
ちょっと待て、今何て言った?
「白面金毛九尾の狐。わらわの名じゃ」
ちょっと待てよ......それ、最強の妖孤じゃねぇか。
最強で最大の妖孤。
最凶で最恐の妖孤。
「うぬは、人間のわりになかなかの霊力を持っているようじゃの。だから、わ
らわのことを守ってはくれんかの?」
こいつの言っていることは嘘じゃない。
俺には分かる。
そこら辺で行きあう妖孤とは比べ物にならないくらいの妖力を持っている。
万単位の年月を生きた古孤が化生した最終形態。
確かに九尾の狐は絶世の美人に化けると言われている。
まさに伝説中の伝説。
まさに神獣。
でも、それでも......
「面倒くさい」
この一言に尽きる。