鬼と狐の宣戦布告
あぁ......分かったよ、助ければいいんだろ。
助ければ。
でも、助けた後は俺は全力で逃げるぜ?
俺は脳内で嫌々ながらも『助ける』という選択肢を選び、タバコの火を消し、
ベンチから立ちあがった。
俺の気分に両足も便乗し、いつもよりも二割増しで歩くのが遅いが、現実は残
酷で現場に到着してしまった。
「あのー、すみません。ほら、やめといた方いいっすよー、そういうの」
俺は明らかに、百人が百人『こいつやる気ねぇ!』と言うであろう声を発した
。
まぁ、この場合、案の定、
「あぁ? お前なんなの?」
ほら、お決まりだねぇこういうの。
こいつらこれがカッコイイって思ってんのかな?
「だから、やめろって言ってんだろ。一回で理解しろよ、クズ。ったく...
...面倒くせぇ」
「てめぇ......あんまり舐めた口きいてんなよ」
あぁ......マジで面倒くせぇ。
人がせっかく好意で来てやったって言うのに。
もういい、俺知らない。
と、その時。