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怪物と娘

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昔々ある時代、ある国に若者がいました。
 見るからに人の良さそうな優しい青年でした。
 若者の生まれ育った村にはミズハという名の娘がいました。
 彼女もまた見るからに人の良さそうな優しい娘でした。
 彼らは長いことお互いに想いあっていましたが彼らの国は戦争でたいへんな状態でした。
 想いを伝えられぬまま若者も敵国と戦うために、戦争に借り出されることになりました。

 戦局は思わしくありませんでした。
 国の偉い人達は考えて考えて、そして遂に最終兵器を作り出すことにしました。
 ある日若者は隊長に呼び出されました。
 呼び出された部屋に入ると、隊長の横には妙齢の女性が立っていました。
 隊長が若者に女性を紹介します。
「この方は我が国を勝利に導く魔術師様だ。さて、君には大事な人がいるかね?」
「はい」
「その人を守りたいかね?」
「はい」
 若者はミズハの顔を思い出しながら拳を握りました。
 隊長は満足そうに微笑み、女性と顔を見合わせ、そして小さく頷きました。

 隊長が若者に行った説明はこうです。
 国が誇る魔術師の術を人間にかける。
 術をかけられた人間はまさに無敵の力を誇る最強の兵器となる。
 君は選ばれた。
 どうか国を守るために術をかけられてくれないか。
 若者は最初は戸惑いました。
 魔術師などとても怖ろしい存在です。
 怖ろしい魔術師に怖ろしい魔術をかけられる。
 隊長はとても誇らしげに説明をしていましたが、隊長もきっと怖ろしいのです。
 皆怖ろしいからこそ田舎者も下っ端の若者にこのような話が回ってくることを青年も解っていました。
 しかし下っ端の若者にも自国が今にも負けてしまいそうなこともまた解っていました。
 戦争に負けてしまった国がどんなに惨めな目に遭うのか、若者は時々やってくる旅の人から聞かされていました。
 男は殺され、女は辱められるそうです。敗戦国の子供に未来はありません。
 若者は隊長が話を促す前に言いました。
「わかりました。僕を最強の兵器にしてください」
作品名:怪物と娘 作家名:高須きの