顔 上巻
小山が机を叩いて立ち上がった。
「てめえ聞いてりゃァ!いいかさっさとゲロッちまえよォ!
おまえはロザンナさんを自室に連れ込んでレイプしたんだ。
そのあと監禁して、強姦を繰り返して、
反抗したロザンナさんの首を絞めて殺したんだ。
その後、風呂場でバラバラにしようとして、脚を切り刻もうとした!
ところが、おまえはその最中に。催して・・・。違うか!」
一之瀬は失笑の後、立ち上がり、小山を床に押し倒し圧し掛かった。
いいか?最初はレイプだったかもしれんが、悦ばせてやりゃァ、
結局、女は云うこと聞くもんだぜ。
この減らず口を静かにさせるにはどんなセックスが必要なんだ、ああ?
「この変態野郎ォーッ!」
一之瀬は小山の小ぶりな胸に手を伸ばした。
刑務官たちが入って、一之瀬は取り押さえられ、留置所に戻されていった。
“ハハハハ!強がって見せても只のオンナだよなァーっ!
ひょっとして男を知らないのか?
はァ~?
ひょっとして、昔、レイプでもされてビビッてんじゃねぇのかぁッ?
それとも、廻されたか?どこだ?公園か?公衆便所か_?
ありがちなハナシだよなぁ~、女西部警察!“
廊下を引きずられながら、喚き散らす一之瀬の罵声が響いたが
刑務官によって口を塞がれたのだろう。
聞こえなくなった。
「大丈夫か?」
大川は小山を気遣ったが、小山は毅然とした表情を取り戻した。
「すいません、迂闊でした。」
しかし、小山は、緊張の糸がほぐれたのか、泣き出した。
「もう忘れよ、これで、終わりだ。」
大川は、帰り支度を始めた。
小山は頷いた。
「もうたくさんだ、帰ろう!」
ふたりは捜査本部の一番後ろの机で捜査日誌を書き始めた。