顔 上巻
同時に、コリアタウンのビルの隙間に放置された女性の死体放置事件の
捜査資料も送られてきた。顔面がコンクリート・ブロックで、
何度も叩きつけられ頭蓋骨が陥没していた。
指紋も削った跡があり、人物の特定に至らなかった
とされていた。
前日の取調べの結果、
「一之瀬は異常ともいえる自己顕示欲の強い性格であることがわかった。」
と、心理分析官からの報告を受けたが、大川は。
そんなこと、わかりきってるさ・・。と冷ややかだった。
「それで・・どぅなんですかぁ。やっこさん・・殺してるんですか・・?」
大川が尋ねると、顔を背けるばかりで。
結局、埒明かないんだな、と察した。
「あなたが苛立つのも解るが、それを認めさせるのはあなたの仕事だ。」
大川は、彼らがそれなりには、人の心理状態が解る、ということを
認識したが、小山は舌を打ち鳴らした。