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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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夜桜お蝶~艶劇乱舞~

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 弥吉は驚いて階段を見上げ、弥吉から顔を背けて逃げようとしていたお千代も、弥吉の先にいる紺色の着物の裾を見た。
 目尻が切れ長に上がったお紺がゆっくりと階段を下りてくる。
「どこに行くのかと、あたしは尋ねてるんだ!」
 お紺の激昂に弥吉は躰の芯が震えた。
「へ、へい……」
 一階の離れにある厠に行くという嘘は、二階に上がろうとしているので使えない。
「そ、それが……客が二階で……」
 待っていると続けたかったが、お紺は鼻の先で嘲笑う。
「その子には客を取らせるなと言ったはずだけどねえ?」
 弥吉は観念した。
 そして、お千代の躰を突き放した。
「逃げろお千代!」
 突き放されたお千代は逃げなかった。
 その場に正座をしてお紺に深く頭を下げた。
「わたしは逃げも隠れもいたしません」
 その言葉に弥吉は落胆した。足から崩れるようにして、力なく階段に座り込んでしまった。
 お紺が辺りを見回しながら人を呼ぶ。
「誰か、誰か早く来て頂戴!」
 すぐに数人の若い衆が駆けつけてきた。
 お紺はまだ頭を下げたままのお千代を見下した。
「その子をふとん部屋に押し込めておきな!」
 それから弥吉に目をやる。
「こいつにはどんな仕置きをしようかね?」
 舌なめずりをしたお紺の眼は妖しく輝いていた。