流れるままに 1
昼休みが終わる5分前、私は保健室に着いた。が、保健室の扉には「出張中」と書かれた掛札が掛かっていた。
「失礼しまーす」
そんな掛札を無視して部屋に入る。鍵はかかっていなかった。
教室に入ってすぐ横にある机と椅子。その上には生徒が書く体調チェックの紙があった。
(いちよー書いておくか)
椅子に座り、そこそこ体調が悪いっぽく書く。
(吐き気、頭痛と…)
項目にそって丸を付けたり状態を書く。
「出張中って張ってあるのに勝手に入ってくる馬鹿は誰だ!?」
扉が開くと同時に誰かの声がした。
「馬鹿とは酷くないですか、せんせー」
特徴のあるその声の主は養護教諭の市川小百合だった。
「またか、古東。お前しょっちゅうサボってねーか?」
先生はあきれて表情でこっちを見た。
「しょうがないじゃないですか。と言うよりあのクラスで持つ方が奇跡だと思いますが」
「まぁ、そらそーかもしれないけどさ…」
自分を見てほしい男子、授業中に化粧をしだす女子。自己中が集まりであるうちのクラスの評判の悪さは学校でもトップクラスだという。だからその件に関しては先生も同意した。
「私ベッドで寝てるんで5時間目が終わったら起して下さい」
書いた体調チェックの紙を先生に私奥にあるベッドに行く
「了解。たまにはクラスの連中と喋ろうとしろよ―」
「それは無理です」
軽蔑した目で先生を見る。それに対して「まぁ、頑張れ」と一言言ってきた。
ベッドの横にあるカーテンを閉め布団に潜り込む。寝るにも寝れないのでカーディガンのポケットから携帯を取り出し慣れた手つきで携帯を操作する。