みち
案内碑には、次のような事柄が。
馬を川に引き込む悪戯に失敗したカッパは、お詫びをして許され、母と子の守り神となりました。
常堅寺の火事のさいは頭の皿から水を吹き出し消し止め、今でも一対のカッパ狛犬として境内にその姿を留めています。
へええ、此処のカッパ偉いじゃん。
それに…イリュージョンだね亜っちゃん…って、無視かよ。
かっぱぶちばしを渡る頃には、夕方のせいか周囲も薄暗くなり流れる清流がいっそう妖しく見え、今にもカッパさんがひょこって出てきそうな雰囲気。
歩みを進めると、先に小さな祠が見え隠れする。
遠野遺産第22号のかっぱ渕。
遠野の河童は顔が赤いと云われその伝説は数多く残っている。
「小烏瀬(こがらせ)川の姥子(おぼこ)渕の辺に、新屋の家といふ家あり、ある日渕へ馬を冷やしに行き、馬曳きの子は外へ遊びに行きし間に、河童出でてその馬を引き込まんとし、かへりて馬に引きずられて厩の前に来たり……」
遠野物語第58話
この阿部屋敷の水ごうの流れ渕には河童駒引きの伝説を伝える河童神様を祀っている。
洞の中には乳首の縫いぐるみが奉納されており、乳の信仰に転化している興味深い民俗がある。
と、案内板に書かれている。
それを読み終えた亜っちゃんは、神妙な表情で呟く。
「帳、この辺のカッパって顔が赤いって云われてんだ。何でだと思う…」
えっ、顔赤いの…緑色じゃないのカッパって…何でと言われても解んないよ。
「遠野のカッパ伝承は他に5話程あってさ…此処に書かれているのは、まあ無難な話しってやつかな」
フ~ンそうなんだ。でも、無難な話しってどういう意味。
「帳は赤い顔で思い浮かぶのは何がある」
えっと、酔っ払い、怒った人、猿、赤ちゃん…
「乳首に結び付く赤い顔…伝承に見え隠れするのは、何も華やかなものばかりではないって事だよ」
亜っちゃん、ソレッて…
その後亜っちゃんは無言のまま辺りを散策し二対の女カッパと祠、清流などを写真に収め、近くにあったお稲荷様を参拝し次の目的地へと向かった。