朧木君の非日常生活(12)
そしてまた夢の続きを見た。
一体誰が俺にこの夢を見せているんだろうか。
誰がこの夢ではない、メッセージを送っているんだろうか。
俺はまた傍観者だった。
何も手出しすることの出来ない孤独な傍観者。
そんな俺の目の前では、大人たちに囲まれた二人の女の子が泣いていた。
多分、姉妹なのだろうか。
顔の作りが似ている。
頭の中に直接女の子二人の感情が流れ込んでくる。
一人は、憎悪、悲しみ、憤怒、もう一人は、悲しみ、未練。
耐えられない。
この感情の奔流に耐えられない。
この姉妹は今から人柱として生け贄に捧げられるのだろう。
止めたいけど止められない。
何も出来ない自分が不甲斐ない。
傍観することしか出来ない。
そんな自分を呪いたい。
生け贄の手法は実に残虐で、目を閉じた。
しかし、映像は暗転することはなく鮮明に頭の中に流れ込んできた。
行き過ぎた思想、宗教を見ているようだった。
見るに耐えられない映像。
女の子の断末魔が鼓膜を刺激する。
大人たちの神に捧げているのであろう醜い声が頭を刺激する。
作品名:朧木君の非日常生活(12) 作家名:たし