凡人の非日常
「はっ離して下さい。」
ジタバタ先生の腕の中で暴れてみる。
先生は意外とすんなり離してくれた。
離してもらってもドキドキが胸で響きつづける。
「じゃあ、作ってもらえますか?昼ごはん。」
先生の目を見れずにいる。
やばい…ホントに重病だ…。
「しょうがないなぁ、鈴木君に頼まれちゃあ断れないよ。」
嘘だ…。絶対嘘だ。
手を離せって言ったって離してくれなかったじゃんか…。
「嘘つけ。」
言ってみる。
「ソファに座ってて。」
聞いちゃいねぇぇぇ!!!
先生は台所に立ち、フライパンを持っていた。
その背中にまた胸がドキドキと鳴った。
ソファに座ると包丁のトントンという音がしてきた。