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ロックンロールは巻き寿司じゃねえ!!

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「はい、いらっしゃい、いらっしゃい。安いよ安いよ」

何が悲しくて、こんな事をやらなければならないんだ。地べたに座り込んでカンカン照りの太陽を背に受けて、売れる見込みのない物を売るというのは、悲しいというより他ない。

「いらっしゃい、いらっしゃい」

いくら呼んでも、いらっしゃらない。やはり自分の風体が悪いのか、並べた品々が悪いのか。俺が客でもフリーマーケットで小汚い男が売るものなんか見たくない。広げた敷物も汚いし、並べた商品もガラクタの寄せ集めだ。慌てて飛び出して来たから、寝巻きのグダグダのズボンにTシャツ、これじゃ風呂屋にでも行くみたいじゃねえか。自分の欠点は良く分かる。それを直せば売れるのかというとそうでもねえなあ。人が欲しくなるような物は売ってない。自信がある。やっぱり俺が客でも、見るに値する物はねえ。当然客も寄り付かない訳だ、ザマーミロ。

「いらっしゃい、いらっしゃい」

朝から何にも喰ってねえからなあ。もう声もでねえなあ。喉が渇いたけどジュースも買えないし。出て来るだけでも精一杯だったんだ。くたびれて憤りも起きねえ。隣や向こうではピクニック気分の主婦や姉ちゃん達が、弁当やらサンドイッチやらを広げてるけど、こっちは遊びじゃねえんだよ。俺のとこより価値のありそうな物を安く売りやがって。足並み揃えろっての。おかげで売れねえじゃねえか。売りたい物が買えないから、こうして物売りしてるっていうのに。チャラチャラしやがって、まったく…。
日差しが西に傾くまで、四時間はあるなあ。時計がねえから時間は分からんけど、昼過ぎは日差しが強くて身悶える。アスファルトの照り返しもキツイ。こんなんなら出て来るんじゃなかった。もう1日や2日、我慢しても良かったなあ。
チキショー、女房め。金がないくらいでガタガタいいやがって。今に始まったことじゃねえだろ。昨日今日の問題じゃねえから、おとなしくしておきゃいいのに。それも知ってて一緒になったんじゃねえか。それを今更。