ホロ
ユリは涙ながらにホロを抱き返した。相変わらず冷えたゼリーのような抱き心地だったが、しっかり抱き合うと少しだけ温かさを感じた。
――実際、おいらは生前の記憶を日々失くしていってる。次会うときゃお前さんの名前すら思い出せないかもしれねえ、それでもいいか?
「そんなの、恐いよ、お母さん」
――大丈夫だ、大丈夫。
ホロが彼女の頭を撫でる。
これ以上泣いてはいけない気がした。それでもユリの嗚咽は止まらなかった。母に抱きしめてもらうのが久しぶりで、それがやけに温かかった。
ホロの吐息が髪に触れる。
――大丈夫、大丈夫よ、ユリちゃん。
耳に届いたのは、母の優しい声だった。