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CROSS 第6話 『死守』

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 山口たち100人以上の将兵は、魔こう炉の守備隊の防御陣地の中に転送された。陣地から少し離れた所に、大小の採鉱施設が建ち並んでいる。1番大きな建物が魔こう炉だ。
 敵の爆撃は終わっていたようだが、代わりに、彼らの鼻に火薬と血が入り混じった強い異臭が、鼻を襲った。
 異臭がするほうには、たくさんの死体が、シーツに覆われてずらりと転がっていた。シーツに覆われていない部分は、ハエとウジに覆われている……。顔が爆風による破片で、性別もわからないほどミンチになっていたり、シーツの横から腸が飛び出していたりした。その地獄のような光景を見て、慣れてるはずの隊員まで吐いていた……。
「ひどい爆撃だったんでしょうね」
ガリアは死体を一通り眺めた後、空を見ながら山口に言った。今は雲1つ無い青空で、1羽の鳥が悠々と飛んでいる。
「あの『カーム上陸作戦』のときは、航空戦力なんて無かったはずだけどな。この世界もどんどん発展しているんだろうな」
「戦時中ってのは、技術の進歩が速くなる時期ですからね」
「たぶん、今の神羅軍は昔よりも手強くなってるぞ。気をつけないとな」
「……そうですね」

「山口少佐!!! こちらです!!!」
山口は声の方向を見る。そこには、通信で話をした守備隊の少尉が手を振って立っていた。少尉の後ろには、通信でも映っていた大型ロボット兵器の残骸があった。そして、その残骸の後ろには、大型航空機の残骸があった。その航空機には漢字で『神羅軍』と記されていた。
 山口は少尉の所に来ると、ロボット兵器や航空機の残骸を興味深そうに眺め始めた。
「このロボット兵器は、サイバーダイン社製の『ハーベスター』です。最近、配備されたばかりだったんですが……」
少尉が説明する。
「ふぅん、これが『ハーベスター』か。でも、こう簡単にやられちゃったんじゃあ、うちは買わないほうがいいな」
「いえ、山口。このロボットは3機の爆撃機を撃ち落としましたよ。
 ただ、その3機目の爆撃機が道連れのつもりなのか、体当たりしてきやがって……。そこに転がっている航空機の残骸がそれですよ」
山口は「そうか」と言うと、少尉の近くにあったクーラーボックスからミネラルウォーターを取り出し、近くの残骸に腰かけて、飲み始めた。
「映画で見たんだが、そのロボットには2台のオートバイ型のロボットが搭載されてたはずだけど、それもダメになったんだな?」
山口のその問いに、少尉は苦笑いを浮かべた。
「……『モト』2台のうち1台は、山口少佐の「イス」になっていますよ」
山口はすぐに立ち上がり、腰かけていた残骸を見る。確かにそれには、オートバイの面影が残っていた……。
「……もう1台は、「テーブル」にでもなっているのか?」
「いえ、ほとんど無傷の状態で回収できまして、今は偵察に出していますよ」
少尉がそう言った時、1台の無人オートバイが、ガレキを器用に避けながら走ってきて、山口と少尉のすぐ近くで砂埃を上げて止まった……。