かいごさぶらい<上>テレビ&「さびしいねん」
「にいちゃん、しってるん?かしこいな~」
「はい、此処やで~」
「こんなとこやったん、どうするん、はいったらえ~のんか?」トイレの入り口で立ち止まる母。
「ここに手摺あるやろ~、ここ持って、ゆっくり座ったらえ~ねんで」
「はじめてやからな~、わかれへんねん?」母を便座に座らせる。
「あぁー、でたー!」
「良かったな~、間に合うたわ~」
「まだな~、うんち、でそうやねん?」
「そうか~、お袋ちゃん、元気やから、うんち、も自然にでるよ~、心配ない!」
「そうかな~、う~ん、う~ん、で~へん、どうしょう?」
「そんな、きばらんでも、大丈夫や、ちゃんと、出るからな~、綺麗なパンツ用意してくるから、ちょっとそのままいときや~」
「いったらあかん、ここにおりんかいなー!」
「直ぐ行くから~」と、私は急いで履くパンツを取りに。
「さびしいやんか!、でたのにぃー、なにしてんのん、はよ、こんかいなっ!」
「綺麗なパンツに履き替えよな~、気持ち悪いやろ~」オムツは禁句だ。母のプライドを傷つけてはならない。これも母に教わった。何年か前に、ヘルパーさんが「00さん、排泄介助くらいやってあげられへんかったらあかんよー」と、そして「こうしてね~、こうするのよ!」と、懇切丁寧にお教え頂いた。以来、私は、自分で出来る事の範囲を一つ一つ拡げていった。数多くのヘルパーさんから助言や実体験を交えて、学ばせて頂いた。母と共に暮らせるのなら何のことはないのだ。
作品名:かいごさぶらい<上>テレビ&「さびしいねん」 作家名:かいごさぶらい