マスクホン少女
―土手―
今日の昼も一人になる。
マスクをとる。
ヘッドホンはかけたまま。
iPodから音楽を流す。
曲が流れる。
弁当を開ける。
そして待つ。
名前も知らないあの男子の事を。
…何か不思議。
五分経過、まだ弁当を食べてる…このぐらいにはまだ来てなかったのね。
十分経過、まだ半分残ってる…いつもどのくらいに来てるのかな?
二十分経過、弁当残り少し…食べ終わっちゃうぞ?
三十分経過、弁当はすでに食べ終わってる…何もしないで人を待つって結構辛いのね。
三十五分経過、授業前だったから移動…あ、行かないと。
―廊下―
…結局来なかったな。
そういう日もあるのかな?
…もう諦めたのかな?
…まさかね。
だって早すぎるし。
何で来なかったのか考える。
考えてる自分について考える。
一人でぐるぐる考えてる。
…結局わからず終いだった。
―教室―
席に戻る。
授業まで1分と無いのに、玲が来た。
「…晶」
「何?もう始まるよ?」
何故か疲れた顔を見せる玲。
あまり見ない顔だ。
…何かあったのかな?
「あんたも大変ね」
「はい?」
「頑張れ」
「え?」
「気持ちが変わったらすぐに答えを出すのよ」
「は?」
鐘が鳴る。