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マスクホン少女

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―教室―
朝。
教室は騒がしい。
今もヘッドホンをかけてる。
でも音楽は流さない。

ずっと考えてる。
何かを考えてると自然と音が耳に入ってこない。
爆音でもない限り。

考えるのはもちろんあの男子の事。
こんなに一人の男子の事を考えるのは初めてかも…いや、二回目だ。
…昔の事は忘れよう。
彼が悪いわけではないのだけれど。

『君の声を俺にください!』

頭から離れないこの言葉。
どうして?
何でそんな事を言うの?
私の声の何が良いの?
わからない。
考えれば考えるほどドつぼにハマっていく。

「晶!」
「わっ!」

突然の声に驚く。
玲だ。
…爆音?
まぁいいや。

「何?」
「…ずっと変な顔してたよ」
「…顔半分見えないのに?」

『友達だから顔が見えなくても顔がどうなってるかとかわかるよ』

友達。

「それは凄い」
「でしょ?」

友達。

「考え事しててさ」
「昨日の男子の事?」
「うん」

『う〜ん…じゃあこの晶の唯一の友である玲お姉さんが一緒に悩んであげよう』

友達。

「お姉さんって事は友達じゃないでしょ」
「…あ…てへ」
「それにそんな何回も友達って連発したらありがたみ無くなるじゃん」
「…あ…てへ」

この娘は私を友達と認めてくれている。
胸が熱くなる。
嬉しくて涙が出そう。

でも少し考える。
もしこの言葉が一瞬のものだったら?
また打ち砕かれたら?
…怖い。
怖い。
怖い。
寒くなってきた。
体が震えだす。

でも私の友達はその一瞬の変化を見逃さなかった。

「ちょっと晶、大丈夫?」
「うん」
「う〜ん…今日は一緒に過ごそうか?」

少し悩む。
友達と言ってくれた人が提案してくれている。
無碍にも出来ない。
でもこれは私の問題。

「大丈夫」
「そう?」
「ありがとね」
「まぁいいよ…あ、始まるよ」

鐘が鳴る。
担任が立っている。

「きりーつ」
昼までの時間、私はずっともんもんと考えていた。
作品名:マスクホン少女 作家名:koma