朧木君の非日常生活(10)
沈黙に耐えれず声帯が疼き出す。
むしろ、もう嗚咽となって溢れているだろう。
それすらも自覚出来ない畏怖。
「くっくっくくく━━消えろよ」
━━━ッッッッッッ!!
声の主は間違いなく蜻蛉さん。
蜻蛉さんの声を聞いてか、女の子は首だけを動かし蜻蛉さんを見た。
視線だけの対峙。
そしてまた訪れる静寂。
しかし、間もなくして『カタカタカタカタカタカタカタ』と何かと何かが連続的にぶつかる音が響いてきた。
そして、女の子は小刻みに震えだした。
「消してあげようかい?」
蜻蛉さんの、その言葉を聞いた瞬間女の子は、闇の中に姿を消した。
作品名:朧木君の非日常生活(10) 作家名:たし