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朧木君の非日常生活(10)

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電車がキキーという機械音を上げて停車し、ドアが開き俺たちはそれに習ってプラットホームに降り立った。
プラットホームは長年改装した気配はなく、作られた当初から時代に沿って風化していった、という雰囲気を醸し出していた。
要するにレトロな駅だ。
駅員がいない無人駅。
吹きさらしの駅。
とても神秘的で魅力的で魅了された。
俺と蜻蛉さんは飾り物に等しい改札を抜け駅から出た。
そこは田舎という言葉を、そのまま具現化したような所だった。
明らかに過疎化が進んだ町だ。
寂れた商店街、木造の家屋、行き交う人々の数。
どれを取っても田舎だ。


そう、魅力的な町だ。


俺は田舎という言葉を、悪い意味で言ったのではない。
むしろ逆。
いい意味の田舎だ。
寂れた商店街、木造の家屋、行き交う人々の数。
とても味がある。
繋がりがある。
歴史がある。
礎がある。