かいごさぶらい<上>お茶の間とヘルパーさん
(お袋ちゃんやないわなー、病気のせいや!)と、呟く私。
《2005年7月》
「このひとなー、え~ひとやねん、ねぇー!」ヘルパーさん、その(5)
2005/7/1(金) 午後 0:37
某月某日 母は、要介護度5である。四六時中見守りが必要だ。寝ている時も、何時、徘徊するか解らない。ケアマネージャーさんの配慮で、月に2回、日曜日にヘルパーさんを派遣して頂き、私は、武道の稽古に当てることになった。
「ただ今!、お袋ちゃん、帰りましたよー!」玄関から大声をかける。
「あー、おかえり、にいちゃんや!、どこいっとったんなー!」
「うん、剣術の稽古に00までいっとったんや!」
「いつーぅ」
「うん、朝からや!」
「そうかいな!、しらんかったー、なんで、ゆえへんのん?」
「うん、ちゃ~んと、言うたよ、ね~ヘルパーさん」と傍らで出迎えて頂いたヘルパーさんに。
「00さん、お兄ちゃん、行ってきま~す、言うて、行きはったよ!」と、ヘルパーさんが。
「しらん、きいてへん!」
「まあー、嬉しそうに、00さん、早よ、帰ってきて良かったね~」と、母の表情を見ながらヘルパーさん。
「ふふ~ん、にいちゃんなー、このひと、え~ひとやねん、ねぇ!」と、母が笑顔でヘルパーさんの顔を見る。
「わあー、00さん、有り難うございます。褒めてもらいました!」ヘルパーさんも笑顔をこぼす。
「何時も、お袋ちゃん、見てくれはるヘルパーさんやんか~」
「なに、ゆ~てんのん、いま、きはったんやでぇ!」
「今日は、終始、笑顔で落ち着いたはりましたよ~」と、ヘルパーさんが、それとなく母の様子を聞かせてくれる。これが有り難い。
「そうですか、お袋ちゃん、ヘルパーさん、好きやもんな!」
「00さん、じゃ帰りますね!、またね~」
「いくの~、にいちゃん、いきはるんやて~」ちょっと、不安げそうな顔をする母。
「うん、また、明日きはるからな!」
「ほんま!、また、きはる?」
「00さん、また、来ますよ~!」と、それとなく、母の表情を察し、母の両手をなでながら、笑顔で。
「バイバ~イ」と、玄関先で振り向き、ヘルパーさんが。大きく手を振るヘルパーさんに、母は名残り惜しそうに同じように大きく手を振る。(お袋ちゃん良かったなー)。
作品名:かいごさぶらい<上>お茶の間とヘルパーさん 作家名:かいごさぶらい