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すずきたなか
すずきたなか
novelistID. 3201
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音の撒い散る

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「あっいや、全然平気っす!椅子が古いみたいで、いやはや」
「そ、そっちの人は……」
「へーきへーきですよ、すいませんお騒がせしました~」
保健室まで連れていきたがる漫研部員達を帰し、私はとりあえず轟を放置、ひっくり返った椅子と荷物を片付け、背中をさする。私というクッションを使ったのだから当然軽傷でしかるべき轟は、お世辞にも綺麗とは言えない床の上でようやく呻き声を上げた。
「あ、いた、痛いぃ……痛い痛い痛いよう……」
「私の方が痛いわ」
「シズカの馬鹿」
「天罰だろアホ」
轟のアホは天を呪いながら身を起こす。顔はまだ赤いけどお預けを食らったパンダ状態は脱却し、普段の懐かない猫みたいな表情に戻っていた。よろめきつつも元いた席に戻り、椅子を二つ占拠して漫画の続きを読み始めた。私もますます軋む椅子を戻し、落ちたカメラを拾って部室内の光景を撮る。轟は被写体になっていることなど全く気にしなかった。カメラを膝に置き、気になったことを尋ねる。
「その漫画、誰に借りたの?」
「田中愛子、文芸部の。読みたいの?」
「全然」
諸悪の根源が見えた。とりあえず文芸部の田中さん、私の友達に変な漫画貸すのはやめて下さい。
作品名:音の撒い散る 作家名:すずきたなか